おもてなし。
おもてなしジャパン。
またひとり日本にネガティブな感情を持つ外国人が誕生しました。
この件について、現地のブローカーが悪いという意見が目立つ。そう確かに現地ブローカーは悪いですね。搾取している。
しかし仲介業者だって需要ないところには人は送り込まない。つまり日本側に、労働力が欲しいという逼迫した需要があるのです。実際昨年介護事業について技能実習制度が追加されたことをビジネスチャンスと捉えている人は多い。介護事業者はもちろん日本語学校、監理団体、行政書士、仲介業者etc。群がってるんですよ。外国人技能実習生に。なぜかってお金になるから。
考えてみれば当然のことなんだよね。少子化で労働人口は減少の一途。介護事業はきつい仕事とだと忌避され慢性的な人手不足。しかし超高齢化社会で介護事業はこれからも需要が減ることはない。そこで外国人労働者の受け入れ拡大を働きかける。通る。モロビジネスチャンスだよね。
労働者をよこして欲しいという要請の元に仲介業者が候補者を募ります。需要と供給。ことの発端は日本社会に人手不足という事情があるんですよ。だから記事中に出てきているこのベトナム人女性が働いていたお店の店長さんのコメント「日本の社会もこうした人を生み出した責任はある」というのはある面で正しい。ヤフコメなんかをみると「日本社会は悪くない!現地ブローが悪い」と思い込みたい人が一定数いるようだけど。需要があるから供給されているということの意味を重く考えた方がいい。もちろん外国人で、日本で働きたいという意味での需要もあります。それはそれで、外国の人たちのそうした考えにつけ込んで搾取する日本の事業主がいるという側面を照らし出すことになります。
これから日本はますます外国人労働者に頼ることになる。それは間違いない。もう絶対に避けられないことです。しかし受け入れる側の中には本当に人買いみたいな感覚でやっている奴もいる。奴隷みたいなね。代わりはいくらでも調達できるととでも思ってるんでしょうね。はっきり言って仲介業者だとか、監理団体だとかの中にも怪しい奴いっぱいいるからね。もちろんまともな人もいるのでしょうけど。
僕の身の回りでも似たような話(?)が。
ある人物から外国人労働者と企業をつなぐビジネスを一緒にやりませんかと誘われた。で、その人物のことグーグル先生で検索したんですよ。そしたら過去に女性に対するストーキング的なことで逮捕されてた。詳細は書かない。いや、犯罪者でもちゃんと更生している人であれば社会復帰のチャンスは与えられるべきだと思います。だからそうした偏見は極力亡くなった方がいいし、僕自身もそうした考えを持ちたい。ただね、そのビジネスの話をするもっと前の、知り合った頃にその人物を含め複数人で飲んでいたら「ベトナム人の女の子可愛いよ〜」みたいなことを言ってたのを思い出して。ああこいつ反省してないのかなーって思ったらもうダメで。連絡を絶ってしまいました。その人物が外国人労働者を食い物にしようと考えてるのかはわからないけど、やっぱりその程度の意識で関わろうとする連中は多いでしょうね。とにかく儲かるから。この記事の女性みたいに斡旋された事業所から逃げ出しても、代わりをまた連れて来ればいいんだもん。人手不足に苦しんでいる企業はたくさんあるからいくらでも需要はあるんですよ。
まともな給料払って、まともな労働条件で働かせるならそれはなんの問題もないことなんです。問題はまともな条件で働かせる気ないだろって案件が多すぎるし、それくらい別にいいだろと考えている企業が思いの外多いこと。むしろ地方の中小零細企業の方が大事にしてくれるかも。飲食店とかコンビニのオーナーさんなんか多分大事にしてくれるよ。だいたい口を揃えていうのは日本人よりも良く働くって。その分すごく可愛がってる。だいたい店長候補として考えてるのに、今の所こうした業界での就労ビザがないから泣く泣く諦めているところも多いです。まー飲食とかコンビニとか店長になってもブラックでしょ、という人がいるかもしれない。そしてそれは正しくもあるが、一方で安定した職で将来の独立に向けた勉強ができるとも言えます。というか自社で法定労働時間守って働かせていても気がついたら本人がWワークしちゃってたりとかザラにある。よく言えばハングリー精神なんだろうけど、管理する側としては難しいよね。
話を戻すと、おもてなしだなんだ言っても結局このように日本嫌いな人を増やしているだけだし、今後の人材獲得競争では間違いなく日本は敗北する。すでにいろいろ二等国並みになってきているしアジアの中でさえ日本よりも進んでいる国や成長しそうな国がちらほらある。いま政府がやってる外国人技能実習生の規制緩和にしても単に単純労働であったり日本人がやりたがらない業種に人手を確保したいだけだろうって感じであまり発展性を感じない。だいたい技能実習制度っていうのは一定期間過ぎたら帰国して自分の国の技術発展に貢献するという先進国としての責務みたいなものが根底にあるはずなんですよ。ところがいまは技能実習生は日本の不足している労働力を補うための存在程度にしか認識されていない。一定の条件満たせば永住も可能になるという改正も、もはや技能実習の理念よりも労働力確保のためのものであることを隠そうともしなくなっていることを如実に表しています。留学生も同様で、日本に学びに来ているというよりは働きにきているという外国人サイドの問題ももちろんあります。しかしそれを嬉々として受け入れている日本企業側の問題はもっと根深いものがあります。そう考えたときに浮上するのが、日本がそんなに働きに来たい国でい続けられるか、ということじゃないでしょうか。だいたい日本人ですら日本の労働環境に絶望している面があります。オリンピックのボランティアの件とかもそうだけど、上の方に行けば行くほど搾取して当たり前と考えているんじゃないかと思えます。いわゆるノブレスオブリージュって概念がないのかな。
本当は僕も日本はすごいいいところだよー、と言いたい。この記事に出てくるベトナム人の子にそう言いたい。観光客であれば日本のいい思い出だけを持ち帰ってもらうこともできるでしょう。しかし働くとなると相当過酷な現状があることは多くの日本人が知っておかなければならない事実です。
そういえば昔外国人のキャストがいるセクキャバの人に聞いた話を思い出した。
その店の女の子たち(ロシアとか東欧から出稼ぎに来ている)は店で借りたマンションに複数人で共同生活をしているそうなんだけど、給料日にお金とは別に小麦粉やら米とか卵なんかの最低限必要な食料を店から差し入れていたとか。彼女らは稼ぎの大半を国の家族に送金する。自分たちの食べるぶんを削って。で、それで体調崩されても困るからといって最低限の食料はあげるようにしていると。とはいえ彼女らはお客さんによくご飯をおごってもらっているみたいでそこで栄養つけてるみたいだねー、なんて笑って話していたが、案外そういった水商売のお店の方が下手な企業よりいくらか人道的な扱いをしているのじゃなかろうかとふと思った次第です。