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【書評】「ACTION READING」を読んだ感想

僕はあまり趣味の多い人間ではない。そんな僕の数少ない趣味の一つが読書だ。若いうちに本を読む習慣ができていたことはラッキーだ。おそらく人生の最期の時まで本を読み続ける。昔は小説を中心に適当に呼んでいたが、社会に出ると仕事に関するものを読む機会が増えた。いったい本を読むのはどういう目的によるものか。40歳を超えて改めて考えてみたいと思ってる。

マッキンゼー出身コンサルタントの読書術

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「ACTION READING」(2016年、SBクリエイティブ)は元マッキンゼーの赤羽雄二氏が提唱する行動読書のためのノウハウが詰め込まれている。と言っても200ページ程度の本なのでさらっと読むことができる。また図や写真が多くあり読みやすい。

 

しかし赤羽氏は無類の読書好きだ。大学を卒業する頃までに小説を中心にだいたい1,800冊ほど読んだそうだ。変態と言ってもいいだろう。その後多忙なマッキンゼー時代にも新しい事業にアサインするたびに関連書を数日で15冊ほど読むようなこともあったとか。ちょっとなに言ってるか分からない。

攻めの読書、受け身の読書

赤羽氏は「ACTION READING」において攻めの読書を提唱している。攻めの読書とはどういうことか。

 

いま自立/自律した働き方が求められている。これは企業から要求されるというよりは、大企業でさえあっという間に落ちぶれる時代を生き抜くサバイバル術として労働者自身に求められるものだ。自分で考え、問題意識を持ち、目的や目標を明確にし、視野を広げ自分の伸びしろを増やしていく。読書を情報を与えられる受け身のものから、目的を持って取り組む活動として捉えるということだ。

 

そう書くとひどく堅苦しい。意識高い他界みたいではないか。でも大丈夫。ハードルは少しずつ上げていけば良いのだ。最初は10センチのハードルでオーケイ。次は30センチ。そんな感じで。まずは読みたい、知りたいという好奇心に従えばそれでいい。ワクワクは最強だ。

読書を習慣づける方法

しかし日本の社会人は本を読まないという。文化庁が発表した平成25年度の「国語に関する世論調査」では平均で47.5%の人間が月に1冊も本を読まないという結果になった。その前の平成20年度の同調査でも全く読まない層は約47%あった。次は平成30年度の調査結果がそのうち発表冴えるだろうが、そんなに大きく変わりはしないだろう。(もっとも最近の政府の調査統計は信用がならないが)

 

 ここ最近はネットで必要な情報を収集している人が多くなっている。しかし本書でも言及されているが、ネットで得られる情報というのは結構浅いものが多い。「広く浅く、即時に」という点ではネットに軍配があがるだろう。しかし深く、より実務的な情報が欲しいとなったら本の圧勝だ。

 

特に僕のような専門職の場合、ネットには嘘の情報が多いことに辟易することがある。単に知識が欠如しているのか、意図的に嘘をばらまいてるのかは知らないが。専門家でもなんでもない人間が2次情報、3次情報どころか妄想や願望をもとに適当こいてるのだ。残念なことにそういったものが、単に検索順位が上という理由で本物の情報のように扱われている。嘘を嘘と見抜くための知識や知恵がより重要な時代になったものだ。

 

さて、読書を習慣化するにはまず何をすれば良いのか。赤羽氏は「本を読む時間に市民権を与えた」(「ACTION READING」57頁)ことでスケジュールに読書時間を組み込んだ、とある。ようは食事や風呂の時間同様に毎日行うことの中に読書を加えるのだ。

 

1日30分でもいい。毎日読書する。

 

読書といえば趣味の定番であるが、読書を単に余暇や趣味のものではなく、人生の重要な活動の一つと捉えるのだ。

ACTION READINGとは

本書ではもう一つ重要なことが示されている。それは本を読み過ぎないこと、である。読書は人生の重要な活動の一つと言っておきながら読みすぎるなとはどういうことか。良書ならいくら読んでも読みすぎということはないのではないか。

 

しかしたくさん読む=ACTION READINGではない。それでは読むこと自体が目的になってしまう。そうではなくて読んだ後に、どう自分の行動に活かすかが重要なのだと本書は説く。

 

確かに、ビジネス書を漁るように読むものの、何一つ行動に活かせずうだつの上がらない知識だけはいっちょまえのビジネスパーソンというのは腐るほどいる。それでは読書の意味がない。時間とお金の無駄だ。

 

読んだら、学んだことを整理して、行動し、その結果から新たな課題を見つける。それが一番大事。読書で得たことを糧に行動することこそACTION READINGだというのである。だからたくさん読みすぎるのは、頭でっかちになるだけだし、得られる知識の量にも限界がある以上あまり意味がないということだ。

 

個人的にはより知を深めるには自分の得意分野以外の本を読むのがいいと思っている。例えば文系であれば科学や工学の本を読むとか。

 

あとは毎月読む本の数を決めておくことも有効だと思う。僕は今年は月に5冊と決めている。本書では毎月読む冊数を決めたら、それを超えて読まない方が良いと書いてあるが、そこはまぁフレキシブルに対応しておけば良いと思う。