「死んだら負け」というのは、確かにそのとおりかもしれない。
生きていれば挽回するチャンスは、また来る。
しかし、だからと言って自死した人間を「負けた」とか「弱い」とは思わない。
さらによくわからないのは「死んだら庇ってもらえる風潮」なんだそれ?
そりゃあ日本で年間に3万件以上ある自死の中には、本人に責任のあるものもあるでしょう。自死に至る原因が複数にまたがることもあるでしょう。
でもな?
でも15,6歳の子どもが、夢見た芸能活動の理想と現実に、大人の搾取に耐えかねて自死することは「負け」か?
死ぬくらいなら逃げればええやん、っていうのであればそれはオッケー。
でも現実はそう簡単ではないことも分かってやれよ。
ブラック企業に苦しめられて、最後には自死した男性の労働問題に関わったことがある。男性は新婚だった。従業員3~4人の零細企業でさ、社長から毎日のように詰められていたわけ。実はこの男性、直前の勤め先もブラックでそこから逃げるようにして退職していた。「もう逃げない」「生活を立て直す」そう決意した彼は、社長からの暴言暴力にもなぜか耐える道を選んでしまった。たぶん新婚で奥さんを養っていかなければ、という思いもあったのでしょう。辞めればいいじゃん、逃げればいいじゃんっていうのは部外者の感想に過ぎないのね。心理的な圧迫を受けていると「これはおかしい」なんてなかなか自力で気づけない。そんな時に身近に専門家がいればいいよ。的確なアドバイスをくれるだろう。でもそんな都合よい設定がどこにでもあるわけでもないし。最終的には出張先のホテルの部屋の窓から。
彼は負けたのか?
他の道を選ぶのは簡単だったのか?
そもそも勝ちってなんだ?
死後に庇って欲しいなんて考えもしてなかっただろう。彼の望みはただ普通に働いて普通に生きていきたい。それだけだけなんだ。
自死したアイドルの女の子も同じような考えだったのではないだろうか。
ただ普通に、自分が生きたいように生きていきたい。
子どものそうした思いに付け込んだ大人がいたとしたら、それは100%大人が悪いに決まっている。そんな単純なことも分からないようでは、笑いに関しては天才かもしれないが、人間的な魅力は全くないと言わざるを得ない。
あとついでに言っておきたい。
この女の子の母親の手記を「理解できない」「意味が分からない」と言っていた芸能人。君たちの方が理解できないよ。
他人の家庭のことなんて理解できなくて当たり前。むしろなんで理解できると思ったのか。その傲慢さはどこから来るのか。
事務所もおかしいけど、親もおかしいよねというDD論に持ち込みたいのはなんでなのか。ほんと芸能人が時事問題に口出すとろくなことはない。だいたい自分の不見識、知識や教養のなさを晒して終わるだけ。
そのくせ一定以上の影響力があるからたちが悪い。
娘が自死して一番苦しんでいるのは親だろう。それなのに「理解できない」「意味が分からない」本当に君たちの頭は大丈夫か??
芸能人っていうのはこの世で一番不要なものかもしれない。