ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

面接官はなぜ無能扱いされるのか?

この記事をシェアする

就活真っ盛りだ。これから夏前くらいにかけて街ではリクルートスーツのボーイズ&ガールズが未来を探し通りを行き交うのに遭遇することになる。

 

企業の採用担当にとっては、まさに繁忙期。どれだけ優秀な学生を確保できるか。いやそれ以前に必要な人員を確保できるのか。頭がキリキリ痛む日々が続くことだろう。暴飲暴食を避け、適度に運動し、十分な睡眠がとれますように。

面接官の無能ぶりを晒す(就活あるある)

https://cdn.pixabay.com/photo/2019/01/22/15/07/business-3948314__340.jpg

これからの時期、SNSを中心に面接官の無能ぶりを晒す就活生が大量に出てくるだろう。ていうかもう出てる。

togetter.com

ああ、ちなみに僕はこの話はおおかたウソ(或いはネタ)か、事実を大幅に誇張したものだろうと思っています。

 

まず「PCに何のソフトが入っているか」という質問に対し「office365です」という返しが危うい。office365はソフトではないだろう。これだと質問に対し適切な答えができていないことになる。面接官は面食らったんじゃないだろうか。

 

あとブックマークでも言及されてるけど、「WordやExcelなどをしっかりと学ぶ大学」ってなんだ?とかいろいろツッコミどころも多い。

 

まあそれはそれとして、「面接官VS就活生」というのは毎年繰り返されるエンターテインメントだ。もちろん本当に本当の実話もあるだろう。しかしどちらかというと面白コンテンツとして消費されていくものだろうね。とくにSNSでいつでも手軽に発信できる時代だし。

面接官を無能扱いする人たちの正体

しかしまあ、元のツイートの真偽は僕にはどうでも良いです。

 

それよりも、このツイートに乗っかる形で面接官や採用担当者の無能さを「そうだそうだ」「ウチもこんなのあるぞ」みたいに言い出す人たちが不思議で仕方ない。

 

こういうのは、その典型だろう。

実務をしない人事などいるのか?そもそも実務ってなんだ?具体的に書いてほしいね。まさか人事は文書作成しないと思ってるのかな。そんなわけないよねー。大企業の人事が実務しない根拠はどこにあるのだろうか。

 

たとえば就業規則や社内規程、36協定ほか労使協定書その他社内回覧用の文書や復命書とか業務指示書など人事が日常的に携わる文書はほとんどWordやExcelで作られる。まさか手書きしているとでも思ってるのかね。磯野波平じゃあるまいし。

 

おい、君は“こんなレベル”の人たちに見初められて採用されたのか。なんという自虐スタイルなんだ!すごいぞ。たった1行で「私はアホです」と証明するとは高度なテクニックだな。

 

こうした「面接官がクソだった」という話に乗っかって「そうそう」と言ってくる人たちは、実は人事だの採用だのについてほとんど無知なのではないか、と感じることがある。

 

よく知らない人たちがなんとなくの雰囲気で叩く。これは非常に怖いことだ。そして就活生にはこうした「面接官=無能」を鵜呑みにしてはいけないと言いたい。

面接官=権威を笑い飛ばしたい

面接官というのは権威だ。

 

これから入社したいと思っている企業に既に勤務していて、かつ自分がそこに入れるかどうかの決定権を握っている(実際には完全な決定権を持っているわけではないが)。

 

面接官に睨まれたらおしまい。ジ・エンド。コンティニューも復活の呪文もなし。

 

だから、強者である面接官を笑い飛ばしたい。この気持ちはよくわかる。強いものをいじってこそ笑いになるんだ。

 

また無意味な圧迫面接とか、もっとひどいのになると採用に一定の権限があるのをいいことに就活生を食い物にしたり、憂さ晴らしに利用する人間もいる。それは論外だ。そういうのはどんどん晒せば良い。

 

しかし注意も必要だ。というのもおかしな面接官にあたった話はたいていの場合、志望する企業に落ちた人が書くからだ(辞退した、というケースもあるだろうが本当に辞退したのか、実は落ちたのかネットでは判別しない)。

面接官を無能にしたい人がいる

企業に採用が決まった人はまず「いや~面接官が無能だったよ」という話をしない。それはそうだろう。わざわざ悪く言う必要がないからだ。

 

ということは面接官が無能だったという人にはそう言いたい動機があるということだ。じゃあその動機は何かというと、採用面接なんだから「採用されなかった」ということになる。

 

採用されなかったダメな自分を正当化したいから、面接官が無能だった(適正に評価されなかった)ということにしたいのではないか。これは人事を無能扱いする人も同様だ。人事評価で思ったような評価をされない。人事に見る目がないからだ、と思いたい。

 

こうした認識のズレはどんな企業でも起こり得る。どんなに練られた人事制度を採用していたとしても必ず不平不満は出るものだ。人はそうそう自分のことを客観的に見ることはできない。

 

とはいえ、僕も面接官はみな優秀だ、とは思ってない。さすがに。変な人もいるだろう。変な人にあたったらお気の毒様、と言うほかない。仮にその企業自体は本当はとてもまともな会社であっても、面接官が地雷で企業全体のイメージが最悪なものになるケースだってある。

 

しかし大抵の場合、特に大企業になると採用面接だの人事評価だので、普通の人があまり想像できないくらい多くの人と接するのが人事だ。たくさんの経験があるから絶対に見る目が肥えているわけではないが、それでも就活生よりははるかに経験豊富である。びっくりするくらい優秀な人もいる。

 

面接官は嫌な奴で、無能だというイメージは確かに共感したくなるだろう。特に就活に苦労している人にとっては。しかしいたずらに面接官は無能であり敵であるという考えに固執してしまうのも考え物だ。それでは就活がますます苦しくなるだけだ。

面接官の部下になれ

はっきりいって面接の場で面接官に反感を抱いても仕方ない(本当にクソみたいなのにあたった場合は除く)。最初から先入観で見ない方がいいよ、ということだ。

 

たとえば「パソコンには何のソフトが入ってますか?」と尋ねられたら、間違っても「office365です」なんて答えてはいけない。「何のソフトが入ってますか?」は「PCを使ってどんなことができますか?」という意味なのだから、それに沿った回答が必要だ。

 

定食屋に行って「今日のおすすめなんですか?」と聞かれて「ご飯は魚沼産のコシヒカリを使用しています」なんて答える店員はおるまい。

 

よく就活本なんかにある“模範回答”などに囚われる必要はない。それよりも「自分はこの面接官の部下なんだ」というくらいの想定で受け答えをした方がいい。はっきりいって面接官と知識比べをしても意味がない。そんなのは時間の無駄である。それよりも、目の前の人間にいかに気に入られるかを考えたほうがよほど生産的である。

 

面接官を無能扱いしたところで、自分の評価が上がるわけではない。結局のところ面接なんていうものは企業と就活生による化かし合いなのだ。イキるのは首尾よく潜り込んでからでも遅くないのである。

 

 

人事のプロは学生のどこを見ているか (PHPビジネス新書)

人事のプロは学生のどこを見ているか (PHPビジネス新書)

 

 

採用基準

採用基準