まず最初に。育児に正解というものはないと思ってます。人間なんてそれぞれの個性があるもので、ある一つのやり方が他の人にそっくりそのまま当てはめることができるなんてことはないです。
しかし一方で育児に不正解はあると思ってます。まぁ事件化するような虐待は別にして。ああいうのはもう論外でそもそも育児じゃないから。では育児中に言ってはいけない言葉、しつけというのはどんなものでしょうか。
ケース1:自転車
ある日僕が自転車を走らせていた時のことです。交通量の多い国道で路側帯が狭く歩道の幅をかなり広く取っているところで歩道を走行していました。すると前からママチャリに乗った母親、小学校低学年くらいの男の子、3〜4歳くらいの女の子がやってきました。それぞれ一人ずつ自転車に乗っています。で、女の子は補助輪付きの自転車なんですがまだ上手く乗れないのか右に左にふらついてます。当然僕はスピードを緩めてかつ女の子から距離をとります。すると子供達の4〜5メートル後ろを走っていた母親が言いました。
「(前から来てる自転車。つまり僕のことだ)自転車が危ないから、気をつけなさい!」
ケース2:保育園で
保育園で送り迎えの時です。敷地内に花壇があります。花壇はレンガで囲まれているんですがある園児がそのレンガの上を歩いて遊んでいました。子供ってそういうの好きですよね。ただふらついてて時々足を踏み外して花壇に片足を突っ込んだりしていました。いうまでもなく花壇には花が植えてあります。それを見た母親が遊んでいた子に言いました。
「そんなとこ歩いちゃダメよ!先生に怒られるよ!」
言ってはいけない魔法の言葉
どちらのケースでも母親の発言を聞いた僕は「うわぁ…」と感じました。ではそれぞれのケースで何が問題なのか考えてみます。
まずケース1。僕はまっすぐにふっつーに走っていただけなんです。つまり僕は全然危なくない。それなのにあたかも前から迫ってくる僕が危ないから気をつけなさいと言っている。母親の警告は自分の娘に避けなさい、と言っているというよりはむしろ周囲にの人間に対して子供がいるから気をつけて!と言ってるようにも受け取れます。本来なら「フラフラしないでまっすぐ走りなさい!」とか「いったん止まりなさい!」とか子供自身にアクションを起こさせる言葉をかけたほうが良いのではないでしょうか。実際件の女の子は母親の言葉もどこ吹く風。ヨレながら走り続けていました。(しかも男の子と女の子は並走していたので歩道が広いといっても危なかったので結局僕は一旦停止しました…)
責任転嫁をしがちな人間になる
もちろん3〜4歳の女の子に周囲に気を配るほどの能力を求めることはできません。子供なんだから。だからこそ母親の掛け声に対して残念に感じました。もし子供に本当はその子自身が原因で迷惑かけているにもかかわらず「周囲が〇〇だから気をつけなさい!」と事あるごとに言い続けていたらどうなるでしょう。子供は迷惑の根元が何か、ということを気づかずに育つでしょう。
時々歩きスマホの人とぶつかりそうになった時に、明らかに向こうが悪いのに「なぜ避けないんだ。危ないじゃないか」と言わんばかり顔で睨んでくる人がいます。そんな時僕は何も言わないけど心の中で「オマエどんだけ他責なんだよ」と思ってます。他責的な傾向のある人間に育つのはこのような「自転車が来てるから危ないよ!(でも本当は自分がフラついてるから危ない)」という教えを受けて来た人なんじゃないでしょうか。
先生に怒られるからしてはいけないのではない
続いてケース2。この場合の母親は自分の子供がいけないことをしているのを自覚しています。でもなぜ「いけない」のかということを教えずに「先生に怒られる」からその行為をしてはいけないと伝えてます。いうまでもなく花壇のへりのレンガ上を歩くのがなぜ良くないのかはまさにその子がやっているようにバランスを崩し花壇に足を突っ込み花を踏み潰す可能性があるからです。この母親はそのことを子供に教えるべきでした。しかし母親が選択したのはとりあえず先生に怒られるからやめなさい、という安易な方法でした。では先生に見つからず怒られなければやってもいいのでしょうか?もちろんそんなことはありません。世の中にはどんな状況でもやってはいけないことというのがあります。極端に言えば軽微な犯罪行為とか見つからなければ良いじゃんとか思うことにも繋がる可能性があります。また逆に先生(大人)に怒られることを気にしすぎるようになることも考えられます。
まとめ
いずれのケースでも特徴としては子供自身の行為の何が問題なのかの根本的な部分の解決を教えずケース1では他人に気をつかわせる、ケース2では先生に委ねるといったことで結果として「何が悪いのか」「どこを直すべきか」ということを一切教えてない点です。
このように育てられて子供は長じて問題を解決する能力の低い大人に育つでしょう。あるいはそもそも何が問題なのかわからない、問題を認識する力がない人になります。いくら課題を与えても全然成長しない残念な大人になってしまいます。
本来子供がいけないことをしたら責任を持つのが親です。(さすがに30過ぎた子供の責任を取る必要があるとまでは思いませんが)
その親が他者に責任を転嫁するような教え方をしていたら、それを見た子供は同じように責任を転嫁する人に育っていまいます。
子供を自立した存在として育てるには安易に他者に責任転嫁するような言葉をかけるのはやめましょう。
ではまたね!