ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

育児ストレスを抱えないで

 

「育児ストレスが爆発してしまった」

痛ましい事件がまた起きた。

詳細については書く必要を感じないので省略しますが子どもに暴行を加え死亡させたとして母親が逮捕されました。取り調べの中で母親は「育児ストレスが爆発してしまった」と供述しているそうです。

3人の子を持つ母親がなぜ

この事件に最初に接したとき僕は「あぁ若い母親が初めての育児で理想と現実の違いに産後うつになってしまったのか」と思ってしまいました。

しかしこの母親は今回犠牲になった子以外に2人、合わせて3人の子を育てていたことを知りとても驚いた。

出産育児経験がある=耐性があるではない

確かに、複数の子どもを育てているからといって必ずしも育児のエキスパートというわけではないですよね。僕自身の経験からもそう思います。もちろん全く子育てをしたことがない人、一人を育てた人に比べれば多少は余裕があるでしょう。ただそれはあくまで「慣れ」程度のものです。

ベテラン社員はストレスフリー?

このことは社会人で考えればわかりやすいです。

例えば営業部のエースでバリバリ働いている社会人20年目、40代前半の最も脂の乗り切った従業員が何かのきっかけで(或いは目に見えるきっかけすらなく)、鬱を発症することだってあります。周囲は「まさかあの人が…」「なぜ?」と困惑します。

中年はストレス要因が多い時期

冷静に考えれば中年期はさまざまなストレスが掛かりやすい時期でもあるんですよね。仕事上のことはもちろん家庭の悩み、子どもの教育だとか自身の健康だとか親の介護とか配偶者との不仲だってあるかもしれない。しかも若いうちから蓄積してきたダメージがいっぺんに出てくることも考えられます。

絶対安全なキャリアなどない

子育てだって同じです。

既に2人も産んで育ててる、ある意味ベテランだから耐性があるわけではありません。

逆に上に2人いることでさらに圧力がかかる可能性は十分あるでしょう。また配偶者が育児に非協力的だったり地域や学校などでの人間関係でストレスをため込むこともあり得ます。

3人も子どもを産むのは大変

先日ウチも3人目が産まれました。

で、奥さんは「産んだ後の体力回復は3人目が一番きつい」と言っています。

また僕の知り合いの話ですが、この人は2人目の出産の時でしたけど、産後の肥立ちが悪く2~3週間そのまま入院してました。*1

母親も子どもも救う道はないのだろうか

今回の件では逮捕された母親を非難する声も多いでしょう。

「親なんだから多少は我慢しろ」「子どもを産む資格がない」「子どもを殺すなんて人間じゃない」etc.*2

でも、ちょっと待って欲しい。

仕事で精神的不調に陥った人に「社会人なんだから少しくらい我慢しろ」「働く資格がない」「鬱なんて甘え」と言う人をどう思いますか?

僕はそんなことを言う人の方がよほど人でなしだと思いますが?

産後うつ、育児ノイローゼだって同様ではないでしょうか。

今回の事件では背景がまだ明らかになっていないのであれこれいうのは難しいですが、我が子を殺さざるを得ないほどの大爆発を起こす爆弾を抱え込んでしまったこの母親の心情は全く理解できないものではないと感じます。

僕だって子どもと接していて爆発しそうになる時は多々ありますもん。

育児従事者へのストレスチェック

今、企業ではストレスチェックを行うことが義務付けられています。*3従業員の精神的不調を予防的に発見し対処するためです。

育児に携わる人(主に母親、もちろん父親でも可)にもストレスチェックを受けさせるような制度があればいいのに。子どもは1か月健診とか半年、1年健診など定期的に健康に問題がないかチェックします。同様に親が精神面で問題を抱えてないか専門医によるしっかりとしたカウンセリングを社会保険で半ば強制的に準備できないのでしょうか。

社会保障費はまた増えるけど、将来社会保険料をたくさん払う(予定の)子どもたち(もちろんそれだけの理由ではないけどね!)が一人でも救われるための投資だと考えれば安いんじゃないでしょうか?*4

まとめ

社会や育児の在り方が変わってきてる現代ではこういった事件はもはや個別的で突発的な事件ではなく‟誰にでも起こり得る”事件・問題として社会全体で防ぐ方法を考える必要があるのではないでしょうか。それも早急に。悲劇が繰り返される前に。

 

今回も最後までお付き合い頂いた皆様にエールを!

では。

*1:元々の身体の強さとかストレスへの耐性とか個体側要因はありますが

*2:理解できるとか同情するなどの意見ももちろんあるようです

*3:H29年3月現在は従業員50人以上の事業所が義務化の対象

*4:要らない支出はちゃんと削って欲しい