ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

高度プロフェッショナル制度導入と引き換えに労働者が要求すべきもの

スポンサーリンク

いろいろと批判の多い高度プロフェッショナル制度。グレイな点が多く(たとえば職種を省令で定めることができるのは抑止のためのハードルが低くないかといった点)、過労死の増加に繋がると多くの人が懸念しています。しかしながら政府は数の力を背景に、たとえ重要な根拠となるデータがねつ造・改ざんされたものであったとしても押し切ることができます。というかそうなるでしょう。そこで高プロ導入を前提に、労働者サイドが働きすぎ抑制のために手にすべき権利のことを少し考えてみました。

1.年次有給休暇100%取得

まず年休の完全消化です。いまのところ年休の取得率は49%程度です。しかもこれは100%近く取れている大企業またはホワイト企業を含めた数字なので、中小零細やブラックとかグレイな企業ではもっと少ないことが考えられます。ほんらい年休は100%取得が当然なのですが、少なくとも高プロが適用される労働者については100%完全に年休取得させる義務を企業に負わせましょう。高プロで定める最低年間104日の休日+年休で114~124日は少なくとも休日が確保できるようになります。

2.上乗せ年次有給休暇を与える

高プロ適用者には法令で定める年休にプラスして有給の休暇を与えることを義務付けるのはどうでしょうか。たとえば現行法では、正社員は入社半年で10日の年休が与えられます。高プロ適用者ならこれに5日プラスされるとか。個人的には高プロ適用者に限っては勤続年数に関わらず、年休を年間30日としてもいいと考えます。え?休み過ぎじゃないかって?高プロは仕事を時間ではなく仕事の成果(質)で図る制度です(建前は)。どれだけ休もうが、成果さえ出せば文句はないのでしょう?だからたくさん休んだっていいんです。

3・給与交渉権

プロスポーツ選手みたいに、自身の仕事の成果に自信があれば年度の途中だろうが何だろうが翌期の給料の交渉を自由に行える権利を持たせるのはどうでしょう。労働者からの給与交渉の申し込みがあった場合は企業は必ず交渉に応じなければなりません。要求を受け入れるかどうかは任意です。ただしパフォーマンスに応じた査定をきちんとしなければなりません。できれば高プロ対象者は既存の賃金テーブルから外した方が良いでしょう。成果を出せば一気に来年2倍3倍の給与を受け取れるかもしれないとなればモチベーションも上がります。*1少なくとも中小零細企業で見られるようななぁなぁな給与の決め方は許されないでしょう。

4.退職の自由

これはいまも当然あります。しかしけっこう拘束して職業選択の自由を無視している会社が見受けられます。高プロ適用者が自分の成果に見合った待遇を受けられてないと感じた場合に容易に仕事を移れるようにしましょう。その際に企業が競業避止義務*2を課すことを禁止します。プロであれば自分のことを最も評価してくれる所で働きたいと考えるのは当然で、優秀な人材に逃げられたくなければそれに見合った評価待遇をするべきではないでしょうか。特に自社HPで人材を人財とか書いちゃってる企業は特に。

5.顧客の持ち出しOK

多くの企業では、上記の競業避止義務と合わせて顧客の引き抜き禁止をうたってるところが多いです。もしもの場合は損害賠償請求をチラつかせたりもしています。*3しかし顧客の中には担当者を信頼してついてきてくれるところが多分にありますので、その辺もフリーにしちゃいましょう。優秀な人材に逃げられるばかりか、顧客まで持っていかれるのはたまらん、というのであればふさわしい待遇を用意して引き止めましょう。

6.健康診断(最低年2回)の義務化

現行法では一般労働者への健康診断は年1回が義務付けられています。*4それも一般健診です。高プロ適用者にはこれを年2回以上にして、特定健診まで会社が費用(健診費用はもちろん健診受診時間分の賃金支払い)*5をもちます。労働時間の枠を取り外して働かせる以上、いままでより社員の健康状態に気とお金を使うのは当然ではないでしょうか。

7.ストレスチェックの義務化

これも現行法では従業員が50人以上の会社は義務となっていますが、高プロ適用者にはたとえ会社が50人未満でもストレスチェックを義務付けます。身体および精神両面でのきめ細かなケアが必要です。もしストレスチェックの結果医師との面談や場合によっては加療が必要な労働者がいた時は高プロの適用が自動的に解除されるようにしましょう。少なくとも問題が取り除かれるまでは。*6

8.対象業務以外の業務命令の禁止

対象業務は厳密に分けましょう。たとえば高プロ適用者に気軽にコピー取りを頼むなんてのはもってのほかです。省令で定める職種で、その職種に特有の、通常考えられる業務以外の業務を命じることを一切禁じます。なんでも欧米のビジネスパーソンは契約書で明示されていない業務は絶対にしないそうです。命じられても「それは自分の仕事ではない」と拒否するのです。それくらい会社と対等に近い発言ができるような権限を与えるべきでしょう。なんといっても高度なプロフェッショナルなんだから。

9.社会保険料100%会社負担化

現在社会保険料は会社と従業員が折半しています。個人事業主からするとうらやましい限りです。こっちは国保と国民年金100%負担やぞ!それはそれとして、残業代の負担がなくなるのだからその分浮いた人件費で社会保険料を全額負担するようにしてはどうでしょうか。残業代払うのに比べたらぜんぜん安いと思うんですが。*7高プロ適用者にとっても手取りが増えるのでお得でしょ?

 

パッと思いついたのを並べてみたけど、他にも休みを増やしたりプロにふさわしい待遇のための優遇策は色々ありそう。労働時間の枠組みから外してしまうのだから、思い切った優遇策は必要になると思います。

採決されちゃったよ、と落胆し諦めるだけでなく割と真剣にこういう議論を今後続けていく必要があると考えています。

 

(おわり)

*1:ただし、収入を増やすために自発的に働き過ぎになることには注意が必要。高プロではないけどタクシーとかトラック業界はこれがヤバイ

*2:一定期間同業他社で就職しちゃダメよ、というもの。ただし職業選択の自由の方が強いため認められるケースはあまり多くない

*3:あまり露骨なのはダメ。ほどほどにネ!

*4:夜間勤務者や有害業務従事者は年2回

*5:健診費用は会社が持つことが義務。健診時間を有給とするか無給とするかは現状は任意

*6:過労死は増えない、と主張するのであれば当然

*7:社会保険料は上限があるが、残業代に上限はない

Copyright © 2016 ジンジャーエール All rights reserved.