待機児童解消策の有効策として期待された企業主導型の保育事業ですが、苦戦しているようです。
しかしながら、こうなることは見えていました。
と書くと、何を偉そうに。後出しで適当言うなって思うでしょ?
はい、そうです。後出しで適当に言ってます。
実は昨年、ある企業からこの企業主導型保育事業に手を出そうと考えている、ついては助成金だとか労務管理のことだとかを教えて欲しいという相談を知り合いの士業の方を通じて受けました。
結果からいうとその話は途中で立ち消えになりました。何度か打合せをしましたが本格的に動き出す前に先方からの連絡が途絶えたのです。
事業計画自体が終えたのか、単に必要な手続きや情報をぼんやりと得られたから僕が用済みになったのかはわかりません。
いまごろどこかで園を開設しているのかもしれないし、してないのかもしれない。
ただ、あのまま話が進んでいたとして関わり続けていたかというと微妙です。
というのも保育事業に参入するにあたっての動機や理念がまったく見えてこなかったからです。もっといえば「絶対儲かるはず」というのが保育事業参入の根底にあったようです(打合せの際にそういう話をしていた)。
たしかに慈善事業ではありませんので、収支の見通しを立てるのは絶対に必要です。どんぶり勘定はいけません。
しかしながら「なぜその事業なのか」と聞かれた際に応えられるような理念がないのもまた大問題です。
「待機児童についての問題意識」や「育児と仕事の両立支援」とか「質の高い教育」だの企業としての社会的役割を果たすという考えは全くありませんでした。
ただ単に「ニーズがあるから、確実に儲けられるから」という程度のものでした。
これは危ない。
儲からないとわかったら、預けている家庭や預けられている子どもたちの不便を考慮せず投げ出しそうな感じを受けました。
それに利益を出すために、運営費や人件費を削る恐れもありました。紹介してくれた人に後から聞いたところ、本業の方もそれほど順調ではない様子とのこと。
企業主導型の保育事業は、定年退職した人が第2の人生に飲食店(そばとかラーメンとか)を始めるようなものでしょう。十中八九コケる。
- ノーハウがない
- 見通しが甘い
- つくれば売れるという思い込み
- マーケティングの粗さ
- 所詮は素人考え
- 経営理念がない、あるいはあっても薄いもの
企業主導型保育事業というのは決して悪くないものです。
しかし儲けに目がくらんで安易に手を出してもいけません。定年後にはじめる飲食店と違い撤退したときに周囲に与える迷惑度が段違いだからです。
園児にとって必要十分な保育環境の確保、保育士の待遇の向上に努めることが何より重要だと思います。
そこをクリアできるところだけが参入するべきでしょう。
補助金や助成金に釣られて参入するのは避けて欲しい。
記事中の白梅学園大・短大の学長さんが言うように「保育内容に責任持たなければならない」のは最低限の条件でしょう。
僕の知り合いにも、とても優秀なのに保育園に空きがないばかりに育休復帰ができず育休延長している人がいます。
保育料無料化、ではなく保育園の増設をしてくれ。
もちろん保育士が保育士であると胸を張れるようなきちんとした待遇であることは前提として。