ジンジャーエール

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ネリのやり方はダメなのか?〜血と名誉と報酬〜

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日本中に不快感という催涙スプレーを撒き散らして去っていったルイス・ネリというボクサー。

 

世界バンタム級タイトルマッチで"神の左を持つ男”山中慎介選手との再戦が注目を浴びていました。というのも2017年8月に当時チャンピオンの山中選手と対戦し、勝ってチャンピオンになったのですがドーピングが発覚してバッシングを浴びました。そして山中選手と再選するよう命じられて臨んだ今回の一戦。騒動は試合前におきました。なんとネリが軽量に失敗!リミットから2キロ以上もオーバー。王座は剥奪されましたが、試合でネリが勝つか引き分ければ王座は空位、山中選手が勝てば王座移動という中で試合は行われました。結果はネリが2回TKO勝ち。山中選手は引退。そもそも1階級以上体重が違うという条件で試合が成立するのが素人の僕には大いに疑問でした。危険すぎるだろ…と。ネリは今回もバッシングの雨を浴びています。だいたい体重超過したのも意図的なんじゃあないのか、と疑われてもいます。調整に失敗したので無理に減量して負けるよりは体重オーバーであえて王座を剥奪される。でも試合になれば減量しなかった方が体のダメージはない。だから試合そのものは有利に運べる。何しろネリは無敗です。この無配という記録を守るために意図的にルールの隙間を狙ってきたんじゃないかと。真相は不明です。ネリ陣営は単に調整に失敗しただけとアピールしました。証拠がないのでそれ以上の追求はできないでしょう。そして試合の結果はご覧のとおり。それは釈然としない思いが残るのが普通です。

 

ただね。本当にネリのやり方は許されないものなのでしょうか。なにがなんでも勝ちたいとかズルしてでも負けたくないというのは特に日本人の価値観からいったら受け入れがたいことだと思います。でも時にはこうしたズルさが必要な時もあるんじゃないだろうか。例えばサッカーでマリーシアというのがあります。南米のサッカー選手なんかがよくやるですが、簡単にいうと見えないところでファールしたり敵を欺いたりする行為です。で、マリーシアはだいたい肯定的に捉えられます。むしろJリーグにくるブラジル人選手なんかは日本人にこうした生活の知恵?みたいなマリーシアがないのが日本代表が国際舞台で今一つの成績に終始する原因じゃないか、技術はあるのにもったいないみたいな話をよくしているのを聞いたことがあります。これは企業間の競争なんかでもそうで正々堂々真っ向から戦いましょうなんていうのは本当は正しくない。いろいろやって相手の裏をかいたり少々ズルイ手を使うのは生き残ることを目的とするのなら当然なんですね。綺麗事を言った結果会社が傾いて従業員に生活が苦しくなったなんていうのは経営者として失格。マリーシアはむしろ積極的に活用するべきなんじゃないだろうか、と思うわけです。

 

といったことをネリの体重オーバー騒動に重ねてみるとまた違った見方ができるなーと。もちろん尊敬はされませんよ。間違いなく。絶対嘲り受ける。でもその恥を忍んでまで(ネリの場合恥とも思ってないかもしれないけど)勝ちたいとか、何かに固執するのはある面ではスゲーとも思う自分がいます。はっきりいって今回のような体重さのある危険な試合をさせるのは興行主の責任が大きい。体重オーバーの際のルールもいい加減なものだったし。個人的には今回試合を取り上げた方が良かったと思います。ボクシングなんて試合中の死亡事故が他の競技に比べて多い危険な格闘技だし。ネリはそのルールの中でズルイ抜け道を使ったというわけですね。そのこと自体は決して褒められたものではないでしょう。実際僕もこの騒動で最初に感じたのはただただ不快感なわけだし。でもいまちょっと冷静に考えるとそこまでして何かを手に入れたいとか守りたいという執着心は決してバカにはできないという気持ちがあります。

 

まー、結局今回の件でネリはWBCから無期限の資格停止処分とかファイトマネーの没収だとかのペナルティを受けることになりそうだと言われています。因果応報じゃんという声が多くあるようですが。でも計量の時に何も言わずに試合をさせておいて後から「やっぱお前ペナルティーね」っていうのはどうなんでしょうか。それでいうなら今まで同様のことをしてきた選手はいるはずですが、彼らにも遡って罰を与えるのでしょうか?もしネリが意図的ではない、単に調整に失敗しただけですって言ったら(そしてそう主張する可能性は高い)それでも処分をするんでしょうか。証拠もなしに?

 

僕は別にネリのかたを持ちたいわけではないです。マリーシア的な執着心に対しては素直にそこまでできるのはスゲーなとは思いますが、それでもあからさますぎてやっぱり受け入れがたい。サッカーで時間稼ぎをするのに上手にやるんじゃなくてあきらかに怪我してないのに転がりまわったり下手な演技するやついるでしょ?ああいうのを見せられたような不快感はありますよ。道端で誰かが吐き出したガムを踏んでしまった時のようなね。ただ今回一番責められるべきはWBCでしょと思うわけで。今頃後出しで処分するぞーとかいうくらいならそもそも試合をさせるなよ、と。もしも山中選手が勝っていたらスルーしていたわけだ。ファンはそれでいいよ。そういうもんだもん。でも管理団体がそれじゃあいかんでしょ。機能不全もいいとこだ。問題が起きたから後から対処しますなんて。試合を強行したことで山中選手を危険に晒したわけだし、キャリアにも傷をつけた。興行のお金欲しさにね。

 

結論はWBCはなんて無能な連中の集まりなんだ、ってことです。山中選手は損をして、ネリは(まぁ自業自得だけど)損をして、WBCは大岡裁きみたいなことをして「よくやった」と得をする。血の滲むような思いで練習して試合に臨む選手たちに対してあまりに敬意に欠けてやしないかい?

組織なんてそんなもんだけど、一番いらないのは誰かっていうことがよくわかるよね。

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