ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

台風が原因で会社を休ませる場合休業手当は必要かを考える

超大型の台風が来ています。スーパーの商品棚からはカップ麺や飲料水の類が消えています。みんな必要以上に買っていくんだなあ。僕はグラノーラ2袋と豆乳を買いました。

 

西鉄バスも運休するレベル

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今回の台風10号のヤバさを表す表現として「西鉄バスですら運休する」というのがあります。福岡市は知る人ぞ知るバス大国。僕もよく利用します。市民の大切な足として日々走ってる西鉄バスはよほどのことがないと止まりません。その西鉄バスが今回の台風10号のため6日の21時から順次運行を見合わせると発表されました。福岡市民の感想としては「え、台風10号ってそんなにヤバイやつなのか」です。

 

一昔前は台風でも会社を休業させるのはそんなに一般的ではなかったと思いますが、近年はだいぶ考え方が変わってきています。割と早めに休業の決断をする会社が増えたのではないでしょうか。一つは社員の安全確保のため。もう一つはそもそも台風時に会社を開けたとてどうせ仕事にならないので会社を開けて無駄な経費をかけるくらいならきっぱり休んでしまった方が良いという考えです。

会社の都合で休んだ場合は休業手当

新型コロナウイルス の蔓延で休業手当という言葉はだいぶ世間に浸透したのではないでしょうか。労働基準法では、会社側の都合で社員を休ませた場合には少なくとも平均賃金の60%以上は保証しなければならない、とされています。これが休業手当です。

 

60%以上とあるのは最低保証額を意味し、会社によっては80%であったり100%であったりします。少なくとも60%以上は支払わないと法律違反になってしまいます。

 

平均賃金は過去3か月間の給料の総額を3か月間の総日数で割って算出します。ざっくりいうと日給相当額を割り出すということです。

台風の時には休業手当は必要か

さて台風に備えて社員を休ませる場合に休業手当は必要なのでしょうか?自然災害の発生時には仕事どころではなく社員を休ませても不可抗力として休業手当は必要ない、と一般的には解釈されています。

 

ただし自然災害に該当するかは個々の事情によりその都度判断されることになります。台風だからといって全て自然災害扱いとなり休業手当が不要なるわけではありません。

 

台風で休業手当が必要ない、不可抗力だ、と判断されるには少なくとも公共交通機関が止まっていて現実に通勤することが不可能な状況であることが必要です。この場合でも徒歩圏内の社員や車通勤の社員で平時と同じように出勤できそうな人も休ませるのであれば、その人たちには休業手当の支払いが必要と判断される可能性があるので注意が必要です。

 

あるいは自治体から退避勧告や避難指示が出るレベルなら同様に不可抗力と判断され休業手当の支払いが免れる可能性があります。

 

繰り返しになりますが、台風が来たというだけでは休業手当の支払い義務が免れるわけではありません。よほど大型で強力な台風だとか、直撃コース上であれば該当するかもしれませんが通常規模の台風や、ややコースから外れているような地域だと休業手当に支払いが必要と考えた方がいいでしょう。

休業手当と有給休暇

 では休業手当を支払う代わりに、年次有給休暇を取得させるというのはどうでしょうか?休業手当は平均賃金の60%と定めている会社が多いです。それに対して有給休暇であれば100%近く給料が保証されます。社員からも有給休暇にしてほしいという声があるかもしれません。

 

結論からいうと台風で会社を閉めた際に、休業手当の代わりに有給休暇をと取得させることはできません。有給休暇は労働日にしか取ることができないからです。休業というのは労働日を労働日でなくすものなので、有給休暇を取得する余地がなくなるのです。

 

とはいえ社員の希望や会社の事務負担を考え有給休暇の取得を優先させることが絶対にできないわけではありません。この場合は形式上は会社は開けていることにして有給休暇を取得してもらうことも可能です。とはいえ、社員の中に「こんなことで有給休暇を消費したくない」と有給休暇取得を望まない人がいる場合はその人に関しては休業手当を支払って休ませる必要があります。

 

また、有給休暇はあくまで社員自身の希望に基づいて取得するものなので会社から強制的に取得させることは原則としてできないことにも注意が必要です。

台風時は安全確保が最優先

一部の業種や職種を除き、台風時はそもそも仕事にならないことの方が多いでしょう。台風時に無理に出勤させる必要はないのではないでしょうか。

 

経営者の中には働いてないのに休業手当を支払うことについて違和感を覚える人もいるかもしれませんが、 無理に出勤させた結果社員が被災してしまっては元も子もありません。非常災害時には安全の確保を最優先した行動が労使共に求められます。