昨日は金曜日でした。しかも3連休前の。しかし連休なんてカンケーねーよ!むしろ土日祝が忙しいんだよ!という方も中にはいるでしょう。ま、今週は月半ばの金曜日ですが、あと2週間もしたらまたやってきます。プレミアムフライデーが。今年の2月が最初だからもう8回目になるんですね。そして毎回、プレミアムフライデーなんて無意味だ!と月末が近づくと罵倒されてます。かわいそうなプレミアムフライデー。彼を何とか救う方法はないのか考えてみました。
プレミアムフライデーの現状
まずプレミアムフライデーの現状はどうなっているのか確認しましょう。プレミアムフライデー推進協議会というところが過去何度か意識調査を行なっています。現在ウェブサイトで発表されている中で最新のものは6月22日の第4回意識調査結果です。
(参考:プレミアムフライデー推進協議会ウェブサイトより)
認知度
認知率は約9割。さらにおよそ半数がプレミアムフライデーに賛成だそうです。賛成派が半数というのが多いと見るか少ないと見るかは意見が割れそうなところですが。
意識づけ
約4割の人が「いつもより早く退社したかどうかに関わらず」普段の週末よりも豊かな過ごし方ができたと回答しています。何をもって「豊か」というかは人によりますが、意識的に他の週末とは違い何かをしようと考えてる人が一定数いるということでしょうか。
過ごし方
20代〜50代いずれの年代でも過ごし方のトップは「家でゆっくり過ごした」で全体で見ると約3割。その他では「外食」「買い物」が2位3位という結果に。みんな休みたいんですね。
傾向
参加意向がもっとも高いのは20代女性です。全年代を比較しても男性より女性の方が参加意向が高い傾向にあります。女性の方がイベントに積極的というのがあるのか、単に仕事で男性よりも業務量が少ない(重要な仕事が回ってこないとか管理職が少ないとか)のかはわかりませんが。気になるのは女性でも30代になると途端に参加意向が50%代に落ち込むことです。出産子育てキャリアなどで忙しくてプレミアムフライデーに参加したくともできなくなるということでしょうか。
プレミアムフライデーはなぜ定着しないのか
プレミアムフライデーについては僕は必ずしも悪いことだとは思ってません。少なくとも何もしないよりはいいでしょう。「ズレてる」という声がありますし、それはそれでわかるのだけれども、何かやらなきゃ始まらないでしょう。今はどちらかというとまだまだ意識を変えなきゃいけない段階なので初めから全て上手くいくとは考えなくてもいいのではないでしょうか。
官製に対するアレルギー
プレミアムフライデーがいまひとつ浸透しない理由として考えられるのは一つにはそれが官製によるものだからではないでしょうか。上からのお仕着せに反発するのは世の常です。そしてだいたい「官僚はわかってない」という論調に落ち着きます。ま、確かに週末に消費しようぜ!ってことで始まったプレミアムフライデーも先ほどの意識調査の通り結局家でゆっくり過ごしたい人が一番多いのでコンセプトの時点で読み違いがあった感は否めません。今後方向性の修正が必要でしょうね。
業種・規模の偏り
やはり週末に遊ぼうぜ!とはいってもサービス業などはむしろ稼ぎ時で忙しくなる。旅行や小売業も同様。そうすると恩恵を受けられるのは一部の業種ということになります。また実際にプレミアムフライデーを全社的に制度として導入できるのは余裕のある大企業だけなんじゃないか、という世間の声もあります。中小零細企業ではそんな余裕ないというのです。結局特定の人間だけが得をしているのではないかという不公平感を感じている人が結構いるのではないでしょうか。
仕事のしわ寄せ
週末早めに仕事を切り上げた結果、翌週明けに積み残しを回してしまい苦しくなる、というのもプレミアムフライデーに否定的な意見の中でよく目にします。これに関しては個人的な部分と適正な業務量の配分をしているか会社的な問題と様々あるでしょうから一概には言えません。ただ僕個人としては、一人ひとりが自分の仕事のやり方を見直すきっかけには少なくともなると思うのですが。どうなんでしょう。
プレミアムフライデーの改善について
週末を豊かに過ごそうぜ、という取り組み自体は決して悪いことではないので今後はどのように改善すればいいのかを考えなきゃいけないと思うんですよね。
退社時間の見直し
午後3時に退社というのはいかにも中途半端ではないでしょうか。例えば朝8時始業なら終業は一般的に17時です。そうすると2時間早く帰るだけ。なんとも中途半端な感があります。昼休みを跨がない半ドンの方が「お得感」出ると思います。で、帰り道にランチをとる。その時にビールやワインを足してもいいじゃないですか。夕方前の中途半端な時間に飲む酒より昼間に飲む方が絶対に美味い(笑)
企業任せはまだ危険
今のところ企業の自主性に任せてますが、自主性に任すと暴走しがちなのが日本企業の悪い点(全てがそうではないですが)。本来こういったことはあまり規制をかけるようなことではないので、逆に積極的にプレミアムフライデーを導入した企業にはなんらかのプレミアムがつくような工夫をするももアリかと。例えば厚労省では法違反が顕著で指導を受けた企業名を公表してますが逆にプレミアムフライデーへの積極的な取り組み企業もパンパカパーーンとより大きく公表して拍手するとか。
そもそものコンセプト見直し
実はプレミアムフライデーはもともと経済(消費喚起)に主眼が置かれています。でも実際は先ほどの意識調査の結果からも多くの人は「家でゆっくり過ごしたい」と考えてることがわかります。経済性を優先するのではなく人を優先する。となるとサービス業、各種小売業、物流業などこそ率先してプレミアムフライデーにしてストップさせてもいいんじゃないでしょうか。みんな家でゆっくり過ごせばいいのだから。政策は何でもかんでも経済性を最優先する必要はないと思います。
結局忙しいプレミアムフライデー
人々も意識も変えていく必要があります。
例えば2月24日。最初のプレミアムフライデーに安倍首相はどのように過ごしたのでしょうか。なんでも午後3時に仕事を切り上げ官邸を後にし、その後座禅を組みに行って、それからミニコンサートや展覧会をはしごしたそうです。「ゆっくり文化に触れ、人生が豊かになる気がした」と語ったそうです。
でもちょっと待って。そんなにあちこち行ったりするとかえって忙しくないですか。移動やらなんやらでむしろ普段の週末より忙しいでしょ。くどいようだけどゆっくりしたい人が多いんですよ。無理やり予定詰めても仕方ないしむしろ疲れるだけ。ゆっくり自分の好きなように過ごすことこそ最も豊かな時間の過ごし方なんだから何もしないことが最高というように意識を変えないといけないでしょうね。だからあんまりいろんなイベントやらなんやら煽らないでほしいね。
プレミアムフライデーの強制は可能か
週40時間制の見直し
さて、今のところ各企業の自主性に任せているプレミアムフライデー。これを強制することはできるのでしょうか。制度を導入することを義務付けろ、ということではありません。
現在の労基法では1週間の労働時間は40時間が上限と決められています。例えばこれを35時間にすると月〜木を8時間働いたとすると金曜日は3時間しか働かすことができません。となると金曜日はおおむね半ドンになるなるわけです。週休2.5日みたいな。
フランスの例
フランスは2002年から週35時間制を採用しています。もちろん残業することもあるでしょうし日本と同様に管理監督者などは規制の対象外ですが。で、よく言われているメリットとデメリットを比べてみましょう。
【メリット】
出生率の増加
人口増による持続可能な社会の構築
ワークシェアリングによる雇用の創出
【デメリット】
労働者保護に対する企業側の締め付けによる高ストレス(自殺の増加など)
企業による雇用抑制で失業者増加
ただ35時間制はまだ歴史が浅いため、どこがどう絡んで影響しているのか、をはっきりと指摘するのは難しいかもしれません。雇用を創出している説もあれば奪ってる説もあります。ただ、今の時点でも日本で働くのは高ストレスです。しかも結構効率の悪い働き方をしていることも多いです。当人たちもそれをなんとなくわかってはいるけど「昔からこうだから」「変えておかしくなったら嫌だから(自分が責任を追及されるから)」という理由で変えられません。少なくとも現行の週40時間制がまったく問題がないのかどうか何の疑問も持たずにいるのが正しいとは言えません。色々検証した結果やっぱり日本には週40時間制があってる、のであればいいのですが。法律の改正検討は一考の価値があるのではないでしょうか。
毎日がプレミアムデー
ここまで見てきたとおりプレミアムフライデーには色々な問題点や改善点が多々あるのは間違いないです。ただまったく無意味かというとそうではないです。働き方改革の一環として企業や働く人の意識を変えるという意味では有効に活用できるのではないでしょうか。もっと効果的で能率の良い働き方を労使双方ができるのであれば労働時間はむしろ短い方が企業にとっても余計な経費がかからないぶんいいはずなのです。労働者にとってはダラダラ仕事するよりはよほど良いでしょう。そうなると何もフライデーに縛られる必要もありません。自分が好きな日にプレミアムデーを設定してさっさと帰る。業種的に個々人が勝手に帰ったのでは仕事にならない業種も確かにあるでしょう。そういったところにはプレミアムデーの代わりに年次有給休暇の取得率を例えば80%以上を義務つけるとか別の規制をするなんてね。
プレミアムフライデーなんてくだらない、というのは簡単です。
ただ、何もしなければ何も変わらない。
後にしわ寄せが来ない働き方、働かせ方を考える好機と捉えればどう?自社の業務でアウトソーシングしたり省略できることはないか 、個人の時間の使い方に無駄がないかをチェックするなど「よそがやらないんならうちがやれば差がつくんじゃね?」的な観点で積極的に導入してもいいと思うんですよね。
豊かな人生も豊かな働き方も向こうから勝手にやってきてくれるわけではないのでね。
以上です。おわり。