奥さんは短大卒。僕は4大卒。話が噛み合わないこともある。
例えば奥さんは驚くほど一般教養に疎い時がある。クイズ番組を見ている時などそれが顕著に現れる。以前日本の歴代首相を10人お答えくださいというクイズを出したところ3人くらいしか答えられなかった。あるいは毎年年末になると会社から渡された扶養控除申告書を持ってきて書き方を教えろさもなくば弁当のおかずが1品減ることになるぞと脅される。去年教えたのに…と言ってはならない。ヤマト運輸から送られてきたどう考えても怪しいCメールに添付されていたアドレスを踏んでしまうこともあった。アマゾンから届いた荷物が入ってた箱に名前も住所も連絡先も書いてあるシールを貼ったままゴミ捨て場に出したりすることもある。僕が詐欺師なら間違いなくカモにする。多分5回くらいまでなら疑いもせずに財産をだまし取ることができるだろう。
それでも奥さんの頭が悪いとは思わない。
ブライン液、というものがある。ある時鶏肉料理が食卓に供された。とても柔らかくジューシーであった。これはモモ肉であろう。そう思ったが案に相違して胸肉であった。まるでモモ肉のような食感はブライン液の力だというではないか。なんだブライン液って。水と塩と砂糖とな。それで作った液体に胸肉を浸けておく。できれば一晩くらい。そうすると胸肉がまるでモモ肉のようになるというではないか。もちろん胸肉の方が価格はお安い。庶民の味方をする良い魔法使いのような話だ。
奥さんは料理とかお菓子づくりが好きだ。こだわりもすごい。料理やお菓子づくりへの知識探求欲がすごい。日夜いろんな文献を漁っている。そういう仕事だからというのもあるけど。
裁縫も得意で子供服なんかを作ったりしている。自分の趣味、興味のある分野に関してはものすごく深掘りする。そういうところは本当にすごいと思う。要は興味の向かう先が違うだけで奥さんは僕が知らないことをたくさん知っている。もちろん僕も奥さんが知らないことを知っている。そこに上下はない。良し悪しもない。知らないよりはよりたくさん知っていた方がいいかもしれないけどどうしても凡人が抱えられる知識の量は限られる。自分の知識量なんて大したことはなく、世の中のほとんど全部のことを知らないと言っても過言ではない。そう思うべきである。自分が何かを知っているひとかどの知識人だと勘違いしている人が世の中にはいる。自分が知っていることを他人が知らなかった時に「こいつは頭が悪い」と見下し切り捨てたりする。とんでもない話だ。
孔子やNECを知らなくても生きていくことはできる。
でも人を見下したり切り捨てたりしてはよく生きていけない、
知識ではなく人間を愛そう。
追記:奥さんを見下した文章だと捉えられたようで悲しいっすね。ものを書くのって奥深い。まだ上手くなれると思うことにしようと思いました。