ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

中国に移籍することはお金の奴隷となることなのか

やりがいのある職場と金銭的満足感のせめぎ合い

「ここ数年サッカーの中国スーパーリーグへ多額の年俸を提示され移籍するトップ選手が増えています。

一昔前はキャリアの晩年を迎えた選手が最後の一稼ぎのために中国行きを決断するという傾向でした。それがここ最近はまだ若く欧州でも十分にキャリアを積める選手たちが中国行きを決断することが増えてきていて、かつ提示される報酬も桁外れであることから大きな驚きとともに幾分の批判的な目で見られてもいます。

「キャリアよりカネを優先した」と。

後進国特有の強化方法としての“カネ”

20年前はJリーグ、10年前はカタールリーグ。そして今は中国リーグ。

サッカー後進国が自国のリーグを盛り上げるために欧州や南米の一流選手を招き入れるというのはよくあることです。その意味ではJリーグもかつてはそうだったのであまり批判的なことは言えないなぁとは思います。

ただ現在の中国リーグが提示する報酬が余りに桁外れであるため「秩序を破壊している」と非難されているのです。

未知なるモノを排除したい気分

実際、元アルゼンチン代表のテベスなどは年俸50億円とも言われています。スゴすぎる…毎週1億円入ってくるんだぞ…

他にも現役のブラジル代表であるフッキとかオスカルも中国で巨額の報酬を得ています。今のところ南米の選手やアフリカの選手が中心ですが、そのうち欧州のトップ選手が中国に渡るかもしれませんね。中国経済が破綻しなければ。

ただし、カネにモノを言わせた手法に拒否反応を示す人達もいます。多くは欧州のクラブ方面からです。

しかしながらカネにモノを言わせて選手を世界中からかき集めているのは他ならぬ欧州のクラブなんですよね。そして選手たちに報酬が高騰したのも欧州クラブが原因です。詳しく語ると30記事くらいになっちゃうので今回は端折りますが、要はチャンピオンズリーグの出場権を獲得するためにトップ選手が必要。彼らをつなぎ止めるために高額の報酬を提示してきました。

自分たちがしてきたことを棚に上げて、未知なる、自分たちの驚異となりそうな異分子を「倫理的に狂ってる」との理由で排除するのはいかにも偽善的です。

人の数だけ人生がある

そんな中、選手の中国移籍について僕が一番ストンと共感するコメントがあった。現在マンチェスター・ユナイテッド(マンU)の監督を務めるモウリーニョです。マンUもルーニー(イングランド代表)が中国から誘いがあるとかないとか噂になっています。そのことについて報道陣から問われたモウリーニョはこう答えています。

 

「私は中国移籍を決断する選手たちを非難する行為は好きじゃないね。それぞれの人生がある。どのようなキャリアを築いていくかは、自分自身で決めることだ。彼らから提示される金額はとてつもないものだよ。皆自分の人生に様々な考え方を持つ。私は他の人間を批判しないよ」

 

例えば他人の決断について「自分ならそうしない」ということはできる。でも自分と違う決断をした人をその「違う」という理由で非難・否定をすることはできない。

他人の価値観を否定する人間が自立した人間だとは思わない

お金が全ての物事を解決するとは思わない。

でも、お金があることで解決されることもある。

僕は必ずしもお金を第一に考えて決断することは決してお金の奴隷になることだとは思ってません。人生はそんなに単純なものではない。

本当にお金の亡者になってしまうこともあれば、生活のためやむを得ず決断をしたのかもしれない。もしかすると後々後悔することがあるかもしれないけどそれは自分自身で受け止めることであって他人があれこれと言うことではないだろうとも思います。

モウリーニョの言うとおり「皆自分の人生に様々な考え方を持つ」のであり、そのような多様性が許されるからこそ物事には発展の余地があるのではないでしょうか。

 

僕自身は札束で選手を引っ張るような手法は好みませんが、それをいったら世界のどのチームも程度の差こそあれやっていることだし、変化と刺激のない世界の方がよほどつまらない。

 

波及効果でJリーグにも大物が来てくれたらおもしろいんだけどなぁ。

イブラヒモビッチとか。無理か。