女優の武井咲さんがEXILEのたかひろさんと結婚。しかも妊娠もしてるってよってな話ですが、それに付随して武井咲さんのプロ意識を問う声が一部あるようです。またCMなどのスポンサーに対して高額の違約金を支払わなければならなくなる可能性があるようです。
ネットではこれに対して賛否両論のようですが、正直意味がよく分かりません。
あ、違約金の支払いに対して「賛」の方の人たちに対して意味が分からないってことですよ。
仕事でそういう契約をしている以上、特に芸能人という特殊な職業上高額な違約金を設定されてても仕方ないと考えてる人達に聞きたい。結婚することや妊娠することは基本的人権ではないのかな。それを高額な違約金を設定し制限するというのはアリなのか。はっきり言うと個人の幸福な生活を追求する権利以上に大切な仕事など、ない。
今の時代に信じられないかもしれないが、いまだに結婚や妊娠を機に退職を迫る職場は存在します。これはもちろん男女雇用機会均等法や育休法等に抵触するものなのでアウトです。原則として法律に違反している以上認められないものなのに「でも」「だって」という人がいます。そういう人達に聞きたいのは、では取引先が仕事完了後の支払いの段になって「やっぱり値引いてよ☆」とか「次も仕事出すから今回はロハで♡」とか言ってきても「まぁ…そっすよね」と受け入れるのかしら。もちろんこれらの行為は下請法で禁じられています。自社の女性従業員に結婚・妊娠を理由とする不利益な扱いをするのも、下請けいじめもどちらも法違反であることには変わりはないんですよ。
でも、芸能人は労働者じゃないじゃん。という人へ。
いま公正取引委員会が芸能人の契約形態について独禁法違反じゃないのか注視している、という報道がチラホラありますよね。あれってようするにいま政府は「働き方改革」を推進しているわけですよ。その中にはフリーランス推進というのがあるのです。副業としてフリーエンジニアだったりライターであったり。あるいは子育て中の女性、リタイア後の高齢者など専従フリーランス(?)であったり。
で、このフリーランスも仕事を受注する“弱い”立場でもあるのでいかに保護していくか、というのが今後の大きなテーマなんです。フリーランスは労働関係各法の保護の対象外であるのをいいことにめちゃくちゃな発注をする業者がいるんですね。ここを整備しないと働き方改革で雇用の流動性や主体的な働き方を実現したとしてもその実、不幸な下請負人を大量に作り出して、一部の業者が儲かっただけでした、みたいなことになります。
フリーランス先進国のアメリカでは現にそうなっています。
アメリカの個人請負労働者(労働者と言ってるが実態は労働者ではない)の諸問題についてはJILPTが各種レポートを作成してますので、興味のある方は以下のサイト内で「アメリカ 下請け」とかで検索してみてください。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構|労働政策研究・研修機構(JILPT)
芸能人とCM企業の個別の契約内容なんて僕は知る由もないけど、問題はこういったことがあるといまだに一定数、違約金は仕方ないだの言う人がいることです。
もう一度言うけど結婚や妊娠したいという基本的人権の保護とそれを制限する仕事上の契約とどちらが優先されるべきか。
ブラック企業がなくならないのは、案外普通の人の中にブラック企業的な感覚があるからではないだろうか。それが日本人の体質として沁みついているとしたらなかなか根が深い。
以上です。おわり。