ジンジャーエール

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ドラゴン桜の三田紀房氏に対して元アシスタントが残業代請求するとかって話

「ドラゴン桜」などの作品で知られる漫画家の三田紀房氏に対して元アシスタントで漫画家のカクイシシュンスケ氏が残業代を請求することを宣言したのだとか。

漫画家業界ってブラックなの?

僕は漫画業界やその周辺で働いたことはないのでどんな労働実態なのか知りません。ただ業界の内幕を描いたいろんな作品などで断片的に得た知識ではだいぶブラックなんだろうな、と。そもそも漫画家とアシスタントって師匠と弟子みたいな関係のイメージがあります。丁稚奉公的な。意識としては「漫画家の仕事を覚えられるんだから給料だの労働時間だのに文句言うんじゃねぇ」というのがあるのかな?とも思います。これって例えば大工とか、士業の世界とか師匠ー弟子の関係性が見受けられるところではありがちなことですね。あと特に売れてる漫画家なんて職場では「神」でしょうからパワハラとか凄そうとか。単なるイメージなんですが。

三田紀房氏の仕事場事情

カクイシシュンスケ氏によると三田紀房氏の現場は漫画業界の中でもだいぶ「ホワイト」だそうです。三田紀房氏も「アシスタントは週休3日、残業禁止」「業務効率化のため絵はデザイン会社に外注している」とか。なんかイメージしていた漫画家の職場とはだいぶ違う感じです。タイムカードで時間管理しているというのだからその辺の会社よりよほどしっかりしている可能性すらあります。ま、実際は残業はあってたようですが。それでこの残業代がまったく支払われていなかったので今回請求するに至ったと。カクイシシュンスケ氏によると業界ではホワイトな方の三田紀房氏の現場であっても残業代が支払われてないんだから、もっと酷いところはたくさんあって、そういう現場で搾取されている人は声をあげたほうが良い。そのために自分が率先して行動するってことみたいです。

権利は行使してはじめて意味があるもの

さて残業をしたのに支払われなかった場合に残業代を請求するのは正当な権利です。この頃はしっかりと声をあげる人が増えたと思いますが、まだまだ諦める人、放棄する人は多いです。「会社ともめたくない」「そこまでするつもりはない」「めんどくさい」「手続きがわからない」…。こうした理由で請求しない人がいます。それはそれで個人の自由なんですが、そうした性格につけ込む会社があるわけだからやっぱりなんだかなぁと思うのです。「少しくらい無茶な働き方をさせても別にこいつは文句言わないだろ」的な。なんか腹立ちません?特に残業代の請求の場合は2年という時効があるので放置するのはあまりオススメできません。実際カクイシシュンスケ氏も三田紀房氏の元で11年以上働いていたそうですから、大半の残業代は時効にかかっていて請求しても払われない可能性が極めて高いです。

働き方改革の行方

ちなみに残業代(というか賃金)の時効に関しては現行の2年から5年に延長しようか、というような法律の改正が検討されていました。しかしこれも昨秋の総選挙でそれどころではなくなったのか吹き飛んでしまいました。今後も継続して検討はされるのでしょうけど少なくとも法律の改正は1年は遅れるでしょうね。その分救済されない人が増えるんだけどそれを考えてもあの総選挙って本当に必要だったのですかねー。いずれにしろ今まで「業界の慣習だから」とかでなあなあになってた部分もきっちりと計算されるように少しづつ変わっていくと思います。残業代の請求をされないようにするには方法は二つしかありません。一つはその都度適切に残業代を支払うこと。もう一つは残業をさせないこと。これはつまり売る値段を上げるか、生産性を上げるかあるいはその両方かということでしょうか。

カクイシシュンスケ氏の請求の結果がどうなるのかちょっと注目していきたいところです。