ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

マスクマナーについて考える

マスクマナーなるものがあるそうだ。どうやら朝の情報番組でビジネスマナー講師だか何だかの人がビジネスシーンにおけるマナーについて語っとところその内容があまりにヒドイということで炎上したとか。

 

ビジネスの場では様々なマナーが提唱されている。僕としてはそれらすべてを否定するつもりはない。バカバカしいものもあれば、まああってもいいよねと思えるものもある。要はマナーというのは結局相手を不快にさせないこと、気分よく接してもらうことが目的なわけだからその目的が果たせれば良いのだ。

 

ビジネスの相手が異常にマナーに厳しい人であった場合に「マナーなんてクソ食らえですよね!」なんていうのは、なんというかTPO!TPO!TPO!と言いたくなる。いや、そんなマナーにうるさい相手となんかビジネスしたくねーよ、というなら別にいいのだけど。しかし僕の場合はたったそれぐらいののことでつむじを曲げて客を選り好みできるほど恵まれてもいません。

 

適度なマナーというのはうまく使いこなせば相手との距離を適度なものに保ってくれるという意味ではありがたいものだとも思う。例えば「親しき仲にも礼儀あり」なんていうのもある種の人付き合いにおけるマナーである。ビジネスの付き合いはありだけど、プライベートは…なんて相手にはこれが使える。

 

名刺の渡し方や、上座下座、お酌の仕方などは確かに一見すると非常にどうでもよく馬鹿馬鹿しいかもしれない。でもさ、よく考えたらそういう馬鹿馬鹿しいことを大真面目な顔をしてするのがビジネスだと思えば少しは気が楽にならないかな。仕事をしている自分を演じているんだと思えば嫌な上司も、いけ好かない取引先も、到底達成できそうもない今季の目標も大真面目な顔をしてアホらしくお気楽にやればいい、と思える。

 

ちなみにマスクマナーについてだけど、あれはアホらしいと思う。実にアホらしい。アホらしい顔をしてやり過ごすことができないくらいアホらしい。よくもまあそんなこと考えたもんだと呆れている。ビジネスシーンにおけるマスクマナーなるものを考えた人は「あ!これいける!ビジネスチャンスだ」とでも思ったのだろうか。チュチュでも着て小躍りしたのだろうか。

 

だいたいこういうマナーは往々にして例外を設ける。例えばソフトバンクの孫氏のようなビジネス界の大物がグレーのスーツにスイカ柄のファンシーなマスクを合わせていたとしよう。そんな時ビジネスマナー講師はしっかりとマナー違反であることを指摘できるのだろうか。おそらく「いやあさすが孫さん。緊張と緩和で相手をリラックスさせるなんて気配りの達人ですね」とかどうにかして褒めるだろう。一方で入社3年目の若手社員が同じコーディネートをしていたら痛烈なダメ出しを食らうだろう。この場合、孫さんはビジネスでしっかりした実績があるから例外だ、とか理屈を立てると思われる。まあそう主張するのは勝手だけど、それならそうと事前に言っておくべきだろうね。マナーはあるけど人によります、とね。ただそういう態度はいかにも太鼓持ちっぽいから嫌われるんだろう。

 

物事の判断に迷うときは、常に本質に立ち返れば良いと思ってる。ではビジネスシーンにおけるマナーの必要性とは何か、というと相手を不快にさせないことではない。ビジネスがうまくいくことである。これが本質。後のことは枝葉であり、テクニックに過ぎない。マナーを守るのも守らないのも好きにしたらいいと思う。要は商談を成立させること、取引先との円滑な関係を築くことができていればそれでいいのである。