夕刊フジでフリージャーナリストの安積明子氏が「野党合同ヒアリングは官僚に対するパワハラだ!」なる記事を緊急寄稿(笑)している。
まぁ夕刊フジも安積明子氏も熱心な政権擁護の姿勢をとっているので、こうした記事を書いたんだろうけど読んでみるとこの人たちはいかにハラスメントについて無知なのかと思わずにはいられない。
最初にパワハラの定義について確認しておきたい。
1)身体的な攻撃
暴行・傷害
2)精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3)人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
4)過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5)過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6)個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること
(引用元:厚労省HP「職場のパワーハラスメントについて」より)
実際、なにをもってパワハラと断定するのかは難しい側面がある。上司から同じような叱責を受けて「パワハラだ」と受け取る人もいれば「怒られちゃった☆」と感じる人もいる。
判定にあたっては「業務上必要な範囲かどうか」を見ていくことになる。
たとえば厚労省のパワハラの定義の例で言えば(4)、(5)のところ。
「業務上明らかに不要なこと」や「業務上の合理性なく」という文言がある。
つまり業務上どうしても注意が必要な場合はパワハラには該当しない。もちろん叱責の度合いが過ぎてもいけないが。
たとえば建設現場で、安全帯とかヘルメットを着用せず高所作業をしようとした部下に対し上司がとっさに「バカヤロォォオー!なにやってんだ!オマエふざけんてんのかッ!?」と言ったとしよう。
僕はこれはパワハラには該当しないと考える。
たしかに言葉は少しキツイ。しかし建設現場、特に高所作業での事故は一歩間違えば死につながる恐れがある。本人だけでなく周囲を巻き込む事故だって起こり得る。だから注意喚起のために少々キツイ言葉になるのは業務上必要な範囲を超えているとまでは判断されないだろう。
これが事務作業でコピーを1枚とろうとして、間違えて100枚コピーしちゃったとかだったら、まぁパワハラと捉えられるかもしれない。
さて、野党合同ヒアリングで官僚にズケズケものをいうのはパワハラだろうか?
官僚は言うまでもなく国民全体の奉仕者であり、彼らの俸給は税金だ。
今回セクハラ疑惑で退官した福田氏や文書改竄疑惑の佐川氏など、あまりに無茶苦茶な実態が曝け出されている。
官僚はほんとうに国民のために奉仕しているのだろうか?
官僚たる資質に欠けているのではないか?
そんな彼らに高額の退職金(原資は税金)を支払うことに納得性はあるのか?
官僚が持つ権限と職責を考えれば、彼らがなにかおかしなことをすれば野党合同ヒアリングのように責められるのはある意味では当然ではないのだろうか。
それをパワハラだ!と騒ぎ立てるジャーナリストはもう少しハラスメントについて勉強して欲しいと切に願う。
本来であれば官僚をきちんとコントロールできてない政府を責めるべきではないかと思うが、そもそも政権擁護のために「官僚がかわいそう」「野党はひどい」という印象を与えたいがためだけの作文なのだから仕方がないか。
このようにパワハラを、自分たちが気に入らない相手を腐すための言葉として都合よく用いるあたりを見ると日本からパワハラがなくなる日はまだ遠いと感じる。