ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

「女性は技術職に向かない」と思うのはなぜか

マッチョイズムを拗らせろ!

グーグルのエンジニアが社内で「ぼくは女性って技術職に向かないと思うんだよね」っていうちょっと2ch脳的な考えを披歴して騒ぎになってます。

なんでもグーグルの男女構成比は男性に偏っていて、女性の比率を上げるための施策をいろいろやってるそうです。で、この男性エンジニアはこれらのポジティブアクション等は「政治的なもの」つまり世間の批判をかわすために仕方なくやってるのであって本質的には不要なものだ、と論じてます。

なぜ女性が技術職に向かないかについてこの男性エンジニアは「男性の方が上昇志向がある」「女性の方がストレスに弱い」「協調性はあるがそれゆえに競争をしない」と断じ女性優遇策は結果的にグーグルの競争力を落とすことになるのでやめるべきだ、と述べています。

気になるのはこれらの女性が技術職に向かない理由について具体的な根拠を示してないところです。つまりほぼ思い込みで書いている!

男性の方が上昇志向が高い?

正確に言うと男性の方が上昇志向が高いのではなくて、上昇志向がある人とあまりない人がいるではないということではないかな。そこに男女差は関係がない。実際出世にあまり興味を示さない職人的な男性も結構いるよ。あと女性は家事育児の負担が大きい。でも本来これは男女で分担するものであって女性に制約を課しているのは男性自身なんですよね。だって家庭を顧みず育児もシッターに任せてバリキャリを目指す女性に対して世の男性の目は厳しいでしょ?やってることは猛烈サラリーマンと同じなんだけどねぇ。

女性の方がストレスに弱い?

男性エンジニアは女性の方が不安障害にかかりやすい実態がある、と主張してます。これってストレスチェックの研修などでよく言われるんだけど、男性は例え精神的に不安を抱えてても容易には外に漏らさないんですよね。医師に面談したがらない。出世に響くとか、弱いヤツと思われたくない、とかの理由で。マッチョ志向なんでしょうか。だから不安を感じたら医師に相談する女性とは統計の数字上開きがあるのも当然。問題は男性の場合ギリギリまで我慢するからさく裂するときに大事になりやすい。最悪なのは自死すること。あるいは逆に凶悪事件を起こしてしまう。

男性の方が凶悪犯罪者が多いから要職には就けない?

実際、犯罪の男女比では圧倒的に男性による犯罪が多い。法務省の「殺人事件の動向」という資料は昭和57~平成23の間の殺人事件を色々な統計から分析しているんですが殺人事件の男女比は8:2くらいになっている。少々古い資料だし資料内でも女性の犯罪率は徐々に上がっているということなので現在はもう少し比率は変わるかもしれないがまぁ少なくとも男女比が逆転するまでは至ってないだろう。例えばこの統計をもとに男性エンジニアに「男性の方が犯罪率が高いんだから要職に就けるべきではない」といったら白目をむくんだろうか?

性別による違い、役割分担

先ほども書いたが女性には特有の役割がある。それは出産(その後の子育て含む)です。出産の痛みに耐えるのだから僕なんかにしたら女性は十分我慢強いと思うのだけどこの男性エンジニアにとってはそうではないらしい。それだけでなく出産を経て精神面や体質にも大きな変化があるらしい。少なくとも男性は自分の子どもが生まれてもそこまで劇的な変化はほぼない。というかこれ書いてて思ったんだけど女性は技術職に向かないと論じる男性エンジニアは同じことを自分のかーちゃんに言えるのかね?男性には男性の、女性には女性の役割があると思うけどそれは違いであって優劣をつけるようなものではないと思うんだよなぁ。

「女性は~」は思考の放棄

「女性は〇〇」とか属性で一括りに論じるのってすごくバカっぽく感じるのは僕だけではないと思う。今回の件で「あぁ世界の最先端のグーグルという企業にもアホはいるんだなぁ」と感じた。なんかそういうヒップな企業に勤めてるってだけで優秀に見えてしまうけどそうじゃないんですね。安心したぞ。

この男性エンジニアがなぜ「女性は技術職に向かない」と思うようになったのか、何か決定的な原因があるのかあるいは2ch脳に侵されてるのかはわからない。たぶん社内調査では尋ねられるでしょうが。ただ根本的な考え方を変えるのは容易ではない。この様な人は得てして例えば心底優秀な女性の技術者がいても素直に「スゲー」とは思わない。嫉妬で気が狂うか、あるいは「部長に媚び売って実力以上の地位にいるビッチめ!」と考えがちだ。少なくとも自分の実力で打ち勝ってやろうと思わない。自分の実力を向上しようとするよりは相手の悪いところを見つけて貶める。その意味では最も上昇志向がないのは実はこの男性エンジニアの様なタイプの人間なのだ。

 

ある種の魚は澄んだ川や池では生きられない。