ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

大学院の閉じられた世界

現代の奴隷だよ。

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懲戒解雇というのはけっこうハードル高いものなんだ。

普通懲戒解雇っていうのは始末書だのけん責だの減給だのとその都度注意して反省を促し、それでも改まらないときに最終手段として懲戒解雇という流れになる。

 

たとえば

遅刻1回目(けん責)

遅刻2回目(けん責)

遅刻3回目(減給)

無断欠勤1回目(けん責)

無断欠勤3日間(減給)

無断欠勤2週間(出勤停止)

無断欠勤1か月(はい、懲戒解雇)

 

こんな感じで徐々に処分が重くしていく。遅刻や無断欠勤1日の段階でいきなり懲戒解雇にすることはさすがに認められない。

 

今回のケースでは、他に余罪がないのか不明なんだけれど、仮にこの事案1回でも十分懲戒解雇たりえるほど重大なことをしでかしている。金属製の棒っていうのがどういったたぐいのものか上記の記事ではわからないけど、大人がそんなものを振り回せば結構な怪我をすることくらいわかるだろう。でもやる。なんでだ。

 

記事では「実験サンプルを壊された」ので怒った、とある。もちろん学生が大事な実験サンプルを壊したのであればきちんと叱らなきゃならない。しかしそれはなぜ壊してしまったのか、それによりどんな損害を受けるのか、再発しないようにはどうするべきなのかを分からせるものでなければならない。いきなり金属製の棒で殴っていいわけない。しかも学生が病院に行く際は「上から物が落ちてきて怪我をしたと言いなさい」と因果を含めている。自分でも悪いことをしたと自覚があるわけだ。

 

僕は大学院に行ってないので、大学院の状況というのを知らない。よく大学院では指導する教授の言うことは絶対で、院生は下僕のようにこき使われる、なんて聞く。それが本当かどうか僕は体験としては知らない。ただ、閉じられた世界で、先生と呼ばれ、下の者の今後のキャリアの命運を握っているとしたらそりゃあ人間ができてない奴は絶対王政敷くよね。そして僕らのほとんどは人間ができてない奴だ。

 

思えば最近も九州大学で、元院生が将来を悲観して放火した。「学問の世界で身を立てていこうなんて狭き門。そんな無謀な所にしがみついてないでさっさと見切りをつけてフツーに就職してればよかったのに」そう思われるかもしれない。客観的に見ればそうだろう。でも自分自身のことはなかなか客観視できない。よほど意識したり訓練受けないとそこまで自分を冷静に見つめることはできない。

 

気になるのは被害を受けた学生が「帰省した際に両親に打ち明けて」発覚したというとこだ。研究室の中の誰にも相談できなかったのだろうか。他の院生は知らなかったのだろうか。また帰省するまで両親に相談できなかったのだろうか。推測でしかないけど、やっぱり問題が発覚すると大学を辞めないといけなくなるかも、といった恐怖があったのかもしれない。相談窓口はないのか?指導者に対してハラスメントについてしっかり教育はされていたのかなど学校側もきちんとした検証が必要だ。再発防止に努めたいというコメントを大学は出している。しかし再発防止などという前に、そもそもこのような事件が起きないような体制がつくられていたのかをしっかりと検証しないといけない。この大学に限らず、これは全ての会社等組織にも言えることである。