ひどい話だ。着物の着付けやレンタルを行う「はれのひ」という会社が、経営が上手くいかなかったのか、よりにもよって成人式の日に着付けなどの対応をできなかった。高額な料金を支払ったにもかかわらずサービスの提供が受けられないとは本当に気の毒だ。なにより一生に一度のハレの日にこのような目に遭うとは…。
楽しみにしている人にとっては悲劇
近年の荒れる成人式とかなんだとかで、成人の日や成人式にたいして本当に必要なのか懐疑的な人もいるでしょう。僕も少なからずそんな気持ちはあります。
それはそれとして楽しみにしている人もいることを考えると、今回の「はれのひ」の件は本当にヤな気持ちになる話です。
まだいる被害者
新成人たちはもちろん被害者なんですが、僕はそれ以外の被害者達が今後どうなるのかとても気になります。それは「はれのひ」の従業員たちです。「はれのひ」はある日突然倒産しました。以前から給料の遅配があったとしたら、従業員もうすうす「ウチの会社ヤバイかも」と感じるかもしれません。しかしよりにもよって成人式の日に店を開けられない事態になるとまでは予想できないでしょう。
置き去りにされた従業員たちが気の毒で仕方がないです。
従業員に頭を下げさせ給料も払わない
成人式当日、福岡の店舗だけは営業して顧客対応を行ったそうです。店を開けた理由は「成人の日を楽しみにしていたお客様が困るから」だということです。この考え自体は素晴らしいと思います。
それでも考えなければならないのは、これを単なる美談として消費してしまわないことです。
どうしていち従業員が経営者の尻拭いをしなければならないのか?
給料ももらわずに顧客サービスを行うことがなぜ美談になるのか?
もちろん僕自身も店を開ける判断をした授業員たちの行動は職業人として素晴らしいと感じます。
自分たちの将来への不安などで本来仕事にならないであろうことは予想できます。そのうえで営業すれば顧客対応が待っていて、当然クレームも殺到したことでしょう。
またニュースになるからとマスコミが押しかけてもいます。こうしたことへの対応もせざるを得ません。
それでも店を開けた。顧客が待っているから。
その気持ちは尊い。尊いんだけど。
もしも周囲が「ブラボー!!」と絶賛すれば彼らの不安は吹き飛び、心労は減り、おなかは膨らむのでしょうか。
そんなことはないでしょう。
どうして「はれのひ」の社長は、給料も支払わない従業員に、顧客に頭を下げさせたり、マスコミに事情の説明などをさせるのでしょうか?それは本来社長の仕事のはずです。
経営者の無責任さいい加減さにはほんとうに腹が立ちます。
経営者として最低
経営者はすでに音信不通状態で“逃げてしまった”とも言われています。
コノヤローどんだけ無責任なんだよ、と思います。
会社が上手くいってる時は、社長ということでいい思いをしたことでしょう。
その反面、社長というのは経営が傾くと真っ先に、誰よりも多く泥をかぶらなければなりません。というより会社が傾かないように日々頭を悩ませているのです。
しかし「はれのひ」の社長はいい思いをすることはあっても、責任は負いたくないという考えだったようです。
経営者として最低の行動です。そもそも経営者になるべきではない、資質の無い人間だったのでしょう。
従業員にできること
これから従業員にできることは何かあるのでしょうか。
会社が倒産したということであれば、給料も払ってもらえないままになる可能性が高いです。
次の就職先を探すのはもちろん、当面の生活の心配さえあります。
まずはそれぞれの店舗の管轄の労働基準監督署に相談に行ってみましょう。
会社が倒産して給料などが未払いになっている場合に国が立替える制度があります。
倒産して6か月を過ぎると認定を受けられなくなるので早めに監督署に行ったほうが良いでしょうね。
給料未払い分の8割*1を国が立替え払いをしてくれます。
これだけ大きく報じられている問題なので、おそらく「はれのひ」が店舗を開設していた都道府県の労働局には厚労省から「はれのひ」従業員からの相談に対する何らかの指針が出されているのではないでしょうか。
いま、国をあげて働き方改革に取り組んでいます。(正直いって成果は出てないし今のところ単なるスローガンに過ぎないが)
しかし一方で経営者教育、働かせる側改革も喫緊の課題ではないでしょうか。
人を雇うべきではない、資質の無いエセ経営者のなんと多いことか!
*1:2万円以上。退職時の年齢に応じて88万~296万円の上限があり。