ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

聖者になんてなれないよ、だけど生きているほうがいい(TRAIN-TRAIN)

これはもうメチャクチャな話である。信じられない思いである。

 

生活保護でパチンコ慎む掲示(2016年6月7日(火)掲載) - Yahoo!ニュース

 

皆さんはどう思います?

生活保護費でパチンコや飲酒することを許せますか?

税金ですよ?

立ち直る気あるのかって思いません?

マジメに働くのが馬鹿らしくなりませんか?

 

 

僕の考えを言えば、生活保護費でパチンコや飲酒をしようが別に。って感じです。

ほどほどにしておいた方がいいよ、とは思いますが、そんなのは究極的に言えば個人の自由です。確かに拒否反応があることは分からなくもないです。ただ一歩立ち止まって考える必要があります。

 

まずはこういう掲示をすることがなぜ危険なのかを考えます。

生活保護法には飲酒やギャンブルを禁じる直接的な規定はありません。にもかかわらず掲示には「過度な飲酒やパチンコに対する指導に従わなければ生活保護を止める場合がある」と書かれていました。

 

え?日本って法治国家だよね?

法令に罰則として規定されないことを、世論だとかの感情で運用や解釈を勝手に変えていいものなの?

それを許したら何でもアリになるんじゃないの?

条文に根拠があるんじゃなくて大衆感情に根拠を見出すなんてとても法治国家とは言えないです。行政は何でもできることになっちゃいます。今回はたまたま生活保護という昨今批判されることの多い制度に関してのことだからこの掲示についても是としている人も結構いるでしょう。でも今後行政が自分たちに都合のいいように解釈して運用する可能性があることの中に今回のことを是とした人たちのうちの一部にとって受け入れられない案件が入ってくることもあるでしょう。その時におかしいぞって思っても後の祭りなんです。その時の多数が「それでいいや」って思ったら法律上保護されている権利が無視されるんですよ。僕はそんなのメチャクチャ怖い。

 

あとパチンコや飲酒がダメなら他の何だったらいいのかって基準の問題もある。

例えば母子家庭で月1回子ども連れて外食したり近くの遊園地で遊ぶのはダメなのか。

例えば高齢者が月1回バスハイクみたいなのに行くのはどうなのか。

例えば障碍者が月1回趣味の模型を買うのは贅沢なのか。

 

結局大衆が気分や感情で決めているだけで明確な基準があるわけじゃないんですよね。パチンコや飲酒がダメでこれらは良いなんていう線引きの合理的な説明はできないでしょ。生きていく上でちょっとした潤いを与えてくれる上記のようなものでも「気分」次第で禁止されるとかそっちの方が理不尽じゃない?

 

こういうのを衆愚政治って言うんですかね。

で、この衆愚政治の怖いところは為政者が自分たちに批判が向かないように大衆向けに攻撃対象を準備するんですね。大体は大衆が叩きやすいもの。官僚とか成金とか。あと大衆に余裕のない時代は社会的弱者も対象になりやすい。生活保護受給者なんていい的ですね。

まさにTHEBLUEHEARTSの“TRAIN-TRAIN”の世界。弱いものがさらに弱いものを叩くというね。

だけどいつか自分が最も弱い立場に落ちるかもしれないとは考えないのかね?

その時になって嘆いても「自己責任だろ」で切り捨てられてしまうよ。

それでいいのかな。

 

生活保護についても書きたいことがあったけど、長くなったのでそれはまた次回以降にします。