ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

現代のおとぎ話

サッカーの話です。

イングランドプレミアリーグレスター・シティが初優勝を決めました。

岡崎選手が今シーズンから所属していることで日本での注目度も上がっていましたがまさか優勝するとは。ほんの数年前は下部リーグにいて昨シーズンはプレミアリーグから降格するだろうと思われていましたが奇跡的に残留を勝ち取りました。そんなチームなので今シーズンも降格候補扱いでした。それが蓋を開けるとまさかの快進撃!上位チームのふがいなさもありましたが、それでもいつか失速すると言われていたのを覆し最後まで走りきりました。本当に驚くべきことです。特に近年の欧州サッカーは貧富の差が激しくて財政規模の小さな、ブランド力に乏しいチームが優勝することはほぼ不可能ではと感じられるほどです。現にプレミアリーグはここ十数年3~4チームで優勝を分け合っていました。今回のレスターの優勝は本当に奇跡的な凄いことなんです。僕のこのブログが人気になって書籍かされバカ売れし本屋大賞に選ばれるようなものです。つまりほとんどないと言うことだし(でもあったら嬉しい)、そもそもそんな願望を口に出すこと自体「何夢みたいなこと言ってんの?バカじゃね。現実を見ろよ」と窘められる程のことなんですね。

いったい何が凄かったのか、優勝の原因は?、という考察はこれからたくさんでるでしょう。そういうのはプロの評論家にお任せしたいと思います。僕としては今回の「現代のおとぎ話」を自分なりに普段の生活に活かせるように解釈してみたいと思います。

レスターの選手たちにエリートはいません。下積みが長かったり遅咲きだったり挫折を経してたり、トップレベルで通用すると思われてなかった選手が大半です。ただ飛び抜けた選手はいませんがそもそもプロになれるような選手たちです。何らかの優れたモノを持っているはずです。ちょっとしたきっかけだとか適材適所に配置するとか必要な信頼を与えるとかで、スーパーマンにはなれないけど組織の中でうまく機能するように導くことが出来れば大きな成果を残すことが出来ます。その意味でラニエリ監督の管理能力は素晴らしいですね。そのラニエリ監督にしてもこれまではあまりパッとしない存在だと思われていました。経験は豊富だけどタイトルには無縁で彼もまたエリート的な存在ではありませんでした。

これは僕の勝手な推測ですがレスターの今シーズンの目標設定はまず1部残留だったと思います。それが序盤から好調で20チーム中でtop10に入ること、さらに好調が持続しヨーロッパカップ戦出場権獲得、シーズンの終盤に優勝が現実的になると優勝をという風に段階を経て徐々に目標を高めていったのかなぁと。目の前の達成できる小さな目標から初めてやがて大きな目標にたどり着く。その過程で「俺たちにもできるんだ」と選手たちも自信を深めていったのではないかと推測します。決して無理な目標設定をしないことは大切ですね。失敗しても「まぁ無理だよね」と自分に言い訳の余地を与えてしまうことになります。

そしてラニエリ監督はベテラン監督らしく自チームの強みと弱みを冷静に分析していたんだろうなぁと思います。特に「自分にできないこと」をしっかりと理解することは大切だと考えます。人はつい「自分はこんな能力がある。こんなことができる」と多少盛ってでも自己アピールしがちですが、自分ができないことや無理なことはあまり言わない傾向にあります。自己主張しないと生き残れないから当然だろ!というのはもっともですが、そもそも自己主張とは文字通り自己を主張することですから、必ずしもいい面を言わなければならない訳ではないと思うんですよね。

レスターが優勝しそうだとなったときにイギリスの多くの人が優勝して欲しいと思ったそうです。ビッグクラブばかりが勝つのはおもしろくない、と。これにレスター自身が自分たちはアウトサイダーで、優勝?ムリムリ!という雰囲気を出すことで周囲の共感をさらに呼んだのではないかと感じます。このように自分ができないことを周りにアピールしておけば周囲の人は意外と助けてくれるもんです。とにかく周囲を巻き込むと自分が出せる以上のパワーが出ます。まぁ助けてもらうためには自分も普段から他人を助ける必要がありますが。

 

エリートは人を利用するのは上手いですが、人に助けてもらうのは下手なような気がします。主観だし偏見といわれればそうですが(笑)

僕のような普通の人間は「達成できそうな小さな目標から始め」てちょっと高い目標は「遠慮無く人の助けを受けて」というかむしろ周囲を巻き込んでずぶとくしぶとくやっていくのが望む結果を出すための最短で最適な方法なんだなぁと改めて感じさせられました。

 

世の中全ての物語が「めでたし、めでたし」で終われる訳ではありませんが、金満リーグと揶揄されるプレミアリーグでこんなおとぎ話が生まれたのも素敵ですね。世の中捨てたもんじゃないなと思います。