ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

西郷の墓地で大久保法要に待ったをかける人たちが西郷の思想を何も理解してないという悲劇

西郷南洲はどういう思いで見ているのでしょうか。

NHK大河ドラマ「西郷どん」でまた注目されている西郷隆盛。そのスケールの大きな人間性や(源義経とか日本人が好む)悲劇的な最期。

その西郷どんを巡ってひと悶着が起きています。

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幼馴染で、ともに明治維新の立役者でありながら好対照な性格。明治政府の方針を巡って対立した西郷隆盛と大久保利通。政争は大久保利通サイドの勝利に終わり、下野した西郷はその後士族に押され蜂起します。西南戦争です。しかし明治政府軍の前に敗れ去り自刃。波瀾の生涯に幕を閉じます。大久保利通も西郷の死の翌年、不満分子に襲われ横死します。

考えると何ともドラマティックですね~。好対照の二人ですが、日本を列強に伍する存在に引き上げて自立を図ろうとしていた点では一致しています。方法論が違っていたけれども。

 

西郷南洲はその人柄や判官びいき的なところもあって、いまも人気があり高く評価されています。対して大久保利通の評価はいま一つといったところでしょうか。しかしまさかこの対立が21世紀の日本にまで続いているとは…。

 

なんでも今年は大久保利通の没後140年だそうで、その140周年記念式典的なものを西郷南洲の眠る墓地で行おうとしたところ西郷ファンが「西郷を死に追いやった人物の法要をその墓前でやろうなんてなめとんのかワレゴラァァ!」とド怒り炎の介に。

「大久保利通公没140年法楽」の主催者サイドが説得を試みるも、最後ファンの「敬天愛人フォーラム21」という団体が「フザケンナゴラァ――――(# ゚Д゚)」状態で、結局法要の名称を「西南之役官軍薩軍恩讐を越えての法要」という、私小説ぽいタイトルになったとさ、という話です。

 

「敬天愛人フォーラム21」というのは西郷隆盛像の清掃や西郷南洲の研究をしているそうですが、ぜんぜん西郷南洲を理解してない!!

 

敬天愛人はどうした!人を愛せよ、人を。なぜ憎む。

西郷の思想を理解してないのに団体名に敬天愛人とかつけちゃって大丈夫?

 

だいたい明治政府内での対立にしても、西郷には西郷の理があったのだろうけど大久保には大久保の理があったのでしょう。好みの問題はあるにせよ両者とも日本がいかに自立して世界の列強を肩を並べるかを考えていたはずです。

大久保利通「だけ」が西郷を死に追いやったわけではないし、西郷の死も天命と言えば天命でしょう。西郷自身も幕末の動乱期の中で間接的に多くの人を死に追いやっています。というかあの時代の政治にかかわっている人は佐幕討幕開国攘夷どの立ち位置でも似たようなものでしょう。

 

西南戦争だって別に大久保利通が憎いから挙兵したわけでもないしね。

だから無関係な現代人が「西郷がー」「大久保がー」と対立しているのを見ると「この人らは暇なんだね」「そして西郷の思想を理解することに重きを置いてない中二病のような人たちなんだな」としか思えません。

 

西郷南洲は人に怒ったり、憎んだりする前に自分自身の行いに落ち度がないか省みるだけの度量があった。だからこそ今も多くの人に愛されているのだと思います。

別に西郷の墓前で大久保の法要やったっていいじゃん。

案外本人たちは地下で仲良く焼酎飲み交わしているかもよ?